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【経営】中小企業・小規模事業者に経営コンサルタントは必要か?活用方法は?
投稿日 2022.12.20 最終更新日 2023.03.16
中小企業・小規模事業者に経営コンサルタントは必要なのか?
必要ならばその活用方法は?
今回は自身の経験も踏まえて、「そもそも中小企業や小規模事業者に経営コンサルタントと呼ばれる人は必要なのか?その活用方法は?」を考えてみたいと思います。
中小企業にコンサルタントは必要なのか?
コンサルタントが必要なのかどうかを考える前に、そもそも、コンサルタントとはどのようなものなのかを少し調べてみましょう。
コンサルタント(consultant)とは
では経営コンサルタントとはどのような事をする人でしょうか?
辞書で調べてみると
企業経営などについて相談を受け、診断・助言・指導を行うことを職業としている専門家。「経営コンサルタント」
(出典:デジタル大辞泉(小学館))
ある分野についての経験や知識をもち,顧客の相談にのって,指導や助言を行う専門家。特に,企業の経営・管理術などについて,指導や助言をする専門家。 「経営-」
(出典:三省堂 大辞林)
ある特定分野において専門的知識と経験を有し,顧客の持込む問題に対して相談に応じたり,助言を提供したりすることを職業とする人をいう。大別して経営コンサルタントと技術コンサルタントがあり,経営全般の問題あるいは技術に関しての相談,助言を行なっている。
(出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目辞典)
となっています。
要すると「相談を受けて、助言や指導」をする人をコンサルタントと呼ぶようです。
中小企業診断士とは
私は中小企業診断士として、企業支援の仕事を生業としています。
そもそも「中小企業診断士って何ですか??」と大半の方はお思いであろうと推測します。
中小企業診断士と名乗って通用するのは金融機関や同じ士業くらいです。
近年では取得したい資格ランキングなどでは上位になったり、コロナの影響でその存在を知るようになったりと、そこそこ認知度も広まってきたのかもしれません。
しかし、お会いする一般の方への認知度はまだまだです。
中小企業診断士は、「経営コンサルタントの唯一の国家資格です」などと言われてます。
実際に定義されているのは下記の内容です。
中小企業診断士は、企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスが主な業務ですが、中小企業と行政・金融機関等を繋ぐパイプ役、また、専門的知識を活用しての中小企業施策の適切な活用支援等幅広い活動が求められています。
(一般社団法人中小企業診断士協会HPより)
他にうまい言い回しができないので、人に尋ねられると「経営コンサルタントみたいなもんです」と答えてます。
コンサルタントは胡散臭さの代表みたいなものと自覚してます
ですが、私自身はコンサルタントが苦手です。
自分がはたから見れば「経営コンサルタント」に映り、人に説明するときも「経営コンサルタント」と言っているので矛盾しそうですが、なんとなく苦手です。
たまにニュースになるコンサルタントのうさん臭さも相まって、良く思われてない職業ってことも自覚してます。
コンサルタントのイメージって、「口だけ」「高い報酬」「成果出ない」「偉そう」など、あまりよくないですよね。
私自身もそう思います。
この業界に入ってみると、確かによくないコンサルタントもいます。
ですが、企業のために一生懸命されている方の方が多いですし、成果をしっかり出される人も多いです。
また、経営者と従業員ではコンサルタントに対する見方も、立場が異なるのでかなり違うので良し悪しも変わります。
ちなみに、こちらの書籍を読んでマッキンゼーとボスコンでは、コンサルティング方法が異なる事をはじめて知りました。
簡単に言うと、マッキンゼーは解決を示すいわゆるコンサル型、ボスコンは伴走支援型。
二つの優劣は、企業によっても異なるでしょうし、使い方によっても異なると思います。
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大手企業に勤めている人からすれば当たり前なのかもしれませんが、私はそのような違いがあるとは思いませんでした。
コンサルタントとは「困っている人たちを助ける人」
少し前まで、子どもから「パパは何のお仕事をしているの?」と聞かれます。
これにはいつも困ってました。
「○○を作っている仕事だよ」と言える妻がうらやましい・・・
子どもへの答えとしては「困っている社長さんを助ける仕事だよ」と言っています。
非常にあいまいで具体的ではありません・・・ですが、間違ってないです。
最近では、「パパは社長さんを助ける仕事なんだよね」となってきました。
中小企業向けのコンサルタントとは平たく言えば、「困っている人を助ける人」です。
その助け方が多種多様ということでしょうか。
相談したほうが良い企業は多いと思う
では、中小企業や小規模事業者にコンサルタントは必要なのか?を考えて見たいと思います。
経営コンサルタントの仕事が「相談を受けて助言や指導」をすることなので、相談事がある企業や経営者は相談してみても良いことになります。
実際、この仕事を始めて改めて思ったことは「もっと早くに相談してくれれば色々な打ち手もあっただろうに・・・」という事でした。
中小企業はどうしても持てる資源(リソース)が大企業に比べて少ないです。
これが小規模事業者、個人事業主となればもっと少なくなります。
限りある人材(多くの場合は社長と少数の社員やアルバイト)、限りある資金(これまた多くの中小企業は少ない)なので、頑張って知恵を絞るしかありません。
社長や経営者の時間が無限にあれば良いのですが、一日24時間しかなく、しかも中小企業や小規模事業者の経営者は、経営だけに時間を割くことはなかなかできません。
個人的に思うのは、圧倒的にインプットの時間が足りていないことが多いです。(もちろん勉強熱心な経営者の方はインプットもしています)
インプットが足りていなからこそ、私を必要としているのかもしれませんが・・・
このような時「知っているだけで得をした」ことや「違った見方でアドバイスを受けたときに経営のヒントとなる」ことが多いです。
ですので、中小企業、小規模事業者、個人事業主が相談する相手を持つことは良いことだと考えます。
何を相談すればいい?
コンサルタントを活用する目的を明確化させる
「自分たちだけではどうも限界がある。もっと詳しい人を雇ったほうが良いのではないか?けど、雇うにしたらコストもかかるし後戻りもできないな」
といった、“自社に足りない部分を必要な時に補う”利用の仕方は普通にあるのではないかと思います。
技能を買う。時間を買う。
コンサルタントに依頼する目的とすれば、
・技能を買う
・時間を買う
といった事がまず考えられるのではないでしょうか?
コンサルタントとは“教え導くもの”とされますが、まさに技能を買う、時間を買うという活用の仕方は、コンサルタントの利用方法としてはオーソドックスかと思います。
一口に技能と言っても、マーケティングだったりITだったり、組織の課題解決や財務改善など多岐にわたります。
そして、その技能を一から身につけるには時間もコストも相当かかりそうだと判断すれば、コンサルタントを活用することで時間の節約にもなります。
専門知識が必要、苦手な分野などは他社の助けを受けるのがやはり早いです。
伴走者になってもらう
技能を買う、時間を買うことがコンサルタントのオーソドックスな活用方法ですが、中小零細企業の経営者にとってはもう一つの活用方法があります。
それは、「相談相手となってもらい、経営の伴走支援をしてもらう」です。
近年は国も伴走支援に力を入れています。
経営者は孤独と言われますが、様々な意思決定をするにあたり、なかなか相談ができなかったりします。
腹心の従業員がいればまた別でしょうが、それでも責任を負う経営者と従業員の立場には埋めきれない差があると思います。
上場企業の大きな会社で、社長に就任した方が「副社長と社長にはそんなに差がないと思っていたが、社長になってみるとこんなに差があるとは思わなかった」といった事を、よく話をされたりしています。大手企業の副社長ともなれば相当な権限もあると想像しますが、それでも最終責任者とそれ以外の人との埋めきれない溝があることを物語っています。
中小零細企業、個人事業主の経営者の方であればなおさら、経営のことを相談する相手もおらず孤独感を感じているだろうと思います。
そのため、個人的には、「一緒の方向を向いて考えてくれるだけでもありがたいし心強い」と言ってもらうことが多いです。
また、「近すぎる相手も逆にダメ」と言ったこともあります。
伴走支援型のコンサルタントは、適度な距離感があるので良い場合もあるようです。
経営判断の参考にする
コンサルタントは経営者の相談相手となり、経営判断の助言をします。
経営者では考えなかった助言も出てくるかもしれませんし、間違ってなかったと後押しになるかもしれません。
別に助言通りに経営判断を下す必要はなく、経営者自身が納得感を得られれば良いと思います。
自身の考えが正しいのか間違っているのか?
他人から見ればどう思われているのか?
よそではどんなふうに決断しているのか?
教科書的にはどちらがベターなのか?
など、決断する時に悩みも多いと思います。
そんな時、都度相談できる相手がいるだけで気は少し楽になるのではと思います。
私もお客様からはなにか疑問に思う経営判断や、判断に悩むときには相談があり、納得感を得て判断ができると伺っています。
ペースメーカーにする
計画を立ててみたものの、なかなか一人ではできないことはないでしょうか?
そのような時は、コンサルタントがペースメーカーになってくれると思います。
計画は立てただけでは役に立たず、結果がどうであれ、実行することが大事です。
実行しなければ、仮説が合ってたのか間違ってたのかもわかりませんし、新たな学びも生まれません。
コンサルタントがついていれば、計画したことを実行できたのかどうかは聞かれますし、注意もしてくれます。
私のお客様にも、なかなか一人では取り組めない経営者の方もいますが、その方からは「自分だけでは忘れるし後回しにしがちなので、指摘をしてくれるので助かっています」と、伺っています。
コンサルタントの人的資源を活用する
コンサルタントと呼ばれる人は、その人独自の人的資源を持っています。
(中には一匹狼で誰にも頼らない人もいるかもしれませんが)
専門家と呼ばれる人たちは、クライアントの課題解決に全て自分一人では解決できないことを知っています。
また、独占業務(弁護士、税理士、社会保険労務士、司法書士など)に係る部分は専門家に依頼する必要も出てきます。
私も信頼できる外部の専門家とのつながりがあり、自分よりも解決する知識や経験、助言ができる人がいればその人に依頼することになります。
コンサルタントとつながりを持つということは、その人の持つ人的資源(俗っぽく言えば人脈)を活用することがしやすくなるメリットがあります。
期待することを伝える
コンサルタントを活用する場合において注意すべき点は「何を期待して契約をするのか」を明確にすることです。
この部分があいまいだと、後々トラブルの原因となります。
お互いに話し合い、ゴールをどこに設定するのか。
どのような部分を改善してもらいたいのか。どのようなアプローチ(優しくなのか厳しくなのかなど)を取ってほしいのか。
教え導いてほしいのか、一緒に考えてほしいのか。
報酬はいくらなのか。どのように支払うのか。
事前に詰めておくことで、多くのトラブルは回避できると思います。
能力も大事だが、相性も大事
コンサルタントを活用するにあたり、当然ながら能力は大事になってきます。
ですが、効果が出るかどうか、満足感が上がるかどうかの大事な要素の一つとして、
「相性はかなり大事」
と考えます。
やはり人と人とのやり取りの部分なので、価値観が大きく違っていたり、自分の性格とあまりにも合わない人と仕事をするのは、なかなか成果を出すのが大変です。
もちろんどのようなタイプの人にも合わせて成果を出すコンサルタントもいるでしょうが、自身の経験や周囲をみれば、中小零細企業、個人事業主の場合は特に相性が大事なのかなと思います。
私の場合は、自分の性格と反対の経営者の方が多い印象です。
補完しあう関係性の方がうまくいくのかもしれません。
上手に外部の専門家を活用した経営は今後ますます必要とされるでしょうし、国の支援も色々とあります。
誰に相談すればいい?
課題解決に合った専門家に相談する
では誰に相談すればいいのでしょうか?
多くの中小企業経営者の方が相談する相手として”税理士”の先生がいます。
税務に関することは初めからお金を払っても良いと考えている方も多く、税理士の先生と接点を持っています。
そして小さな会社の経営者にとっては唯一と言えるくらい”専門家”と呼ばれる方となります。
すると経営者の方は税理士の先生に経営の相談をしますが、「期待に応えてくれない」「全然わかっていない」「すぐにコストカットばかり言う」と不満を持つ方も多いです。
これは、「風邪を引いたから病院の先生に診てもらおう。医者だったら病気のことはなんでもわかると思うので眼医者さんに診てもらおう」と言っているようなものです。
もちろん一般の眼科医も医師免許を持っているので風邪の症状や対処法を知っていますし、処方箋を出すことができます。
しかし、眼科医の専門は目の病気や症状のこと。
内科が専門の医師と同等の能力が求められると、ちょっと困ると思います。
もちろん、税理士の先生の中には経営相談に載ってくれる人もいるでしょうし、能力のある人もいるでしょう。
ですが、そのような方はあまりいないのではないかと思います。
そもそも立ち位置が異なります。
税理士へ期待している業務は、「税金計算を間違えずに申告してもらうこと」ではないでしょうか?
当然、税理士側も最も期待されている立ち位置から考えます。
ですので、相談する相手は”抱えている経営課題を解決してくれる専門家”にすることが望ましいとなります。
コンサルタントにお金を払えない
中小企業には経営コンサルタントは必要と思いますが、全ての中小企業、零細企業、個人事業主がコンサルタントを雇えるものでもありません。
我々中小企業診断士の平均報酬は1日11万円だそうです。
中堅のコンサルティング会社だと1か月50万円くらい、大手のコンサルファームだと1か月で数百万数千万円とします。
それだけを払うには、それなりの体力がないと無理ですよね。
なので普段は商工会議所の無料相談や、エキスパート派遣、よろず支援拠点、中小企業庁の「中小企業119」などを活用すれば良いかと思います。
(ちなみに私も神戸商工会議所、ひょうご産業活性化センター、大阪商工会議所、新潟県商工会連合会の外部専門家エキスパート登録をしています)
そして、会社にとって困りごとが出てきた段階で専門家に相談をしてみて、必要であれば継続支援をお願いするのが良いのではないでしょうか?
ただ、相談は早い方が様々な打ち手を提案してもらえると思いますので、早め早めを心がけるほうが良いと思います。
相談して助言を受けるだけではうまくいかない
国も自治体も中小企業に相談をしてもらおうと様々な支援制度があります。
商工会議所もそうですし、よろず支援拠点などもあります。
金融機関(特に地域密着の信用金庫など)も積極的の相談を受け付けています。
ハズレの人に当たらなければ、担当者の方が一生懸命相談に乗ってくれるでしょう。
しかし、無料はあくまで無料。
支援はあくまで助言をするだけです。
結局のところ、助言や指導を受けても実行してみなければ効果は出ません。
残念ながら、無料相談の範囲では経営者と一緒になって課題解決に取組むには限界があります。
その時は、有料で支援を受けたほうが関わる密度が異なりますので効果は高まるでしょう。
お金がないから支援を受けれない→さらに悪化→打ち手がますます無くなる
といった悪循環に陥りやすいので、本当に一人で解決できない場合は、自身の報酬を削減や貯金を崩してでも専門家を雇った方が結局は得をします。
中小企業・小規模事業者はパートナーと言える人がいい
経営コンサルタントにお願いをするという事は、自社では解決できない問題を解決するためにお願いをすることになります。
なので少なくとも、「自分ではできないことを助けてくれる専門家」が必要です。
また意外と多いのが、会計が苦手なコンサルタント、です。
会計の指標を改善するのが目的でなければ問題はありませんが、最終目的が「利益を出したい」「資金繰りを楽にしたい」のであれば、会計を知っている人は必須となります。
売上を上げたいのでコンサルをお願いして、「めでたく売上が上がったのは良いが、かえって資金繰りが悪化した」となっては本末転倒です。(この意味が分からないコンサルタントにはお願いしないほうが良いですよ)
中小企業や個人事業主は限られた資金の中でやりくりをしなければなりませんので、併せて考えてくれる専門家が良いでしょう。
ただ、上記に挙げた事はあくまでもスペックの話になります。
中小企業や個人事業主の経営者にとって最も大事なことは
「この人と一緒に課題の解決に取組めるか?」
といった相性なのではないかと思います。
時には厳しいことも指摘されるかもしれません。そんな時でも、「この人の話なら聞ける」といった信頼関係は大変重要と思います。
盲目的に信じるのではなく、お互いパートナーとして意見を言い合える相手が、中小企業の経営者には良いのではないかと考えます。
さいごに
子どもが親の仕事に興味が出てきて、聞かれるようになりました。
その都度子供になんて答えるのが良いのか?と考えだして、「中小企業に経営コンサルタントって本当に必要なのかな?」と思ったのがきっかけです。
私自身この仕事を始めてみて、関わった経営者の方から感謝される場面が多いので、「足りない部分を補う形で支援者がいるのがいいのだろう」とは思います。
特に私は財務会計が得意なので、その部分を苦手に思う経営者の方からすれば有難く思ってもらえるようです。
中小企業や個人事業主の経営者の方は、まずは相談相手として経営コンサルタントを利用することからはじめるのが良いと思います。
当社も、お客様の良きパートナーとして支援を行っていきたいと考えています。
中小企業診断士/ファイナンシャルプランニング技能士2級/全経簿記上級
神戸市出身
中小企業3社(食品製造・アパレル)で約20年間財務経理部門を担当。2017年に中小企業診断士として独立。2020年株式会社ノーティカル設立。
事業計画・資金計画の立案から金融機関折衝や資金調達、計画実行支援を中心に、経営改善や新規事業支援を行う。
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