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【融資】事業の「借入金」と個人の「借金」は目的が異なる

【融資】事業の「借入金」と個人の「借金」は目的が異なる

投稿日 2022.11.15 最終更新日 2024.10.02

事業でお金を借りる「借入金(かりいれきん)」と、個人の生活資金を借りる「借金(しゃっきん)」。

読み方をあえて分けてますが、お金を借りるという行為自体には変わりありません。

しかし、意味合いは異なります。

いったい、どのように違うのでしょうか?

 

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中小零細企業・個人事業者の正しい借入れ

借入金は悪い事?

日本人はお金の教育がされていない為か、

借金=悪

という図式に当てはめたがります。

 

「借金=悪」ではなく、「無計画に借りて、借金を踏み倒す=悪」です。

お金を無節操に借りることは良くないですが、お金を借りること自体もひっくるめて悪い事と思うのは間違いです。

 

事業の「借入金」と個人の「借金」は別物

上記の話は、主に個人の借入の話で出てきます。

確かに個人の場合はお金を借りると、収入の範囲内で返済することになります。

収入とはだいたいが給与となるので、大きく収入を増やせることはなかなか無いでしょう。

 

また、借入をしたからと言って、収入が増えることはあまりありません。

例えていえば、住宅ローンで家を買ったからと言って給料は増えません。

個人では、お金を借りると、これまでの収入の範囲内から返済することになります。

住宅ローンやマイカーローンは、大きな支出を伴います。

そこで、一度に大きな支出ができなくても、長期にわたって分割で返済をすることで所有することができるようになります。

簡単に言えば、個人の場合「支出の前借り」の性質が強いのです。

 

一方、事業の場合は、収入の前借の話が単純には当てはまりません。

なぜならば、事業でお金を借りる主な理由は「借りたお金を元手に収入を上げる」ことだからです。

 

例えば、機械装置を購入するとこれまでより生産性が飛躍的に伸びる。

一度に支払えないですが、分割して機械を所有することで、利益を伸ばす装置を購入することができます。

もしくは、事業を拡大するために人を雇うためのお金を借りる。

借りたお金で雇った人が働いてくれれば、借入金の返済以上に収益を上げることができる。

事業の場合は、利益を生み出すために借入金を使います。

言い換えれば、これから稼ぐからお金を借りる訳なので、「収入の前借」とも言えます。

 

事業の場合はお金を借りることによって早く収益が上がったり、より多くの収益を手にすることができます。

これらのことを、レバレッジを利かせるとも言います。少ない自己資金と借入金とを合わせて大きな事業を行い、利益を上げることを目指します。

もちろん、想定通りに利益が出なければたちまち資金繰りに困ることになるので、借りる時には十分なシミュレーションが必要です。

 

このように、個人でお金を借りる意味と事業でお金を借りる意味は違ってきます。

 

無借金経営は良い事ばかりではない

また、事業の場合は手元にお金を余分に持っておくことで、不測の事態に備えることになります。

個人の場合は必要以上に借入をすることはあまりないですが、事業を営んでいる場合は、事業の継続が一番重要なこととなります。

そのため、何かあったときでも事業を継続できるように手元にお金を置いておくことがあります。

 

借入金が必要のないくらい現金が貯まっている会社ももちろんありますが、借入金が少ない方が良いと信じて、少々苦しくても返済を優先にする会社様もいます。

また、税理士や会計士からの指導で、借入金を増やさない会社様もいます。

なぜそのような指導をするのかわかりませんが、利息がもったいないとか、経営指標が悪化するからの理由かと推測します。

実際、お金を借りること自体を悪いことと捉え、投資に使うべきだったお金を借入金の返済に使ってしまい、十分な投資ができていない、新たな事業にお金が使えないといった事態になり、みすみす収益の機械を逃す場面を見たことがあります。

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銀行は借りたいときには貸してくれない

これまでずっと業績が良い場合は、不測の事態が生じたところで、まだ金融機関からお金を貸してもらえます。

基本的に過去の決算書がベースになりますので、業績が良くて、一過性だと認めてくれれば割と簡単に融資してもらえます。

しかし、そうでない会社の場合、すぐに貸してくれるかどうかはわかりません。

不測の事態が生じているにもかかわらず、すぐに調達できないとなると、対応も後手に回りがちです。

 

もちろん常日頃からの金融機関とのお付き合いも大事です。信頼をコツコツ積み重ねているのが発揮される場面とも言えます。

しかし、100%とも言えません。

金融機関も根本は金貸しなので、貸し倒れにならないように、業績の良い会社に貸したがります。

そして、業績の悪い会社には貸しません。

言い方は悪いですが、銀行は「晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる」と言われます。

 

それではどうするか?

それは、晴れのうちに余裕をもって借りておくことです。

「いらないな」と思っても何があるかわからないので借りておくことです。

すると、返済の実績も積み重なりますし、金融機関との関係性もできやすいです。

その方が、いざとなってもまだ助けてもらいやすいですし、手元に余剰金があるので、冷静に対処できます。

 

新型コロナウイルス対策で、どんな会社でも借りやすい状況がありました。

しかし、そのようなことは今後難しいでしょう。

複数の金融機関の支店長にお話を聞いても、「当時は異常であった。今後は簡単に借りれないだろう。」と同じように捉えています。

 

借入の基本は長く借りる

借り入れの基本は長く借りることです。

確かに利息負担は増えてしまいますが、その分お金の減り方も緩やかです。

また、短期ですと返済完了後にまた貸してくれるか、100%の保証がありません。

基本的には長めに借りておき、なるべく手元に現金を置いておくようにします。

 

金利は保険料

そうは言っても、金利分の費用が発生してしまいます。

かなり調達に有利な環境で1~2%の金利としても、何も使う当てがないのに利息を払うのはもったいないと思うのが普通です。

しかしこの金利は、掛け捨ての保険料と思ってください。

保険料としては高いな、と思えば高くないと思える借入に抑えればいいと思います。

 

どれくらいの資金の余裕を持たせるか?

業種によって必要な額は変わると思いますが、最低欲しい金額は運転資金分。

余裕は最低プラス1か月程度くらいでしょうか?

運転資金はざっくりと計算すれば、「売上債権金回収期間+在庫回転期間-仕入債務支払期間」となります。

例えば、売上の回収が40日、在庫回転期間が30日、仕入支払期間が20日の場合、40+30-20=50日となります。

通常の黒字企業ならざっくりと、年商÷365×50日で計算した金額が運転資金になります。

年商が1億円の会社なら、1億円÷365×50日=1370万円となります。

もちろん日銭商売の場合はもっと少なくてもいいかもしれませんし、季節変動の大きな会社の場合なら、ゆとりをもって手元に置いておきたいです。

 

経営者と言えど人間なので、トラブルなど不足事態に見舞われると冷静な判断を下しにくいものです。

売上は精神安定剤と言われますが、現金を手元に置いておくこともまた、精神安定剤になります。

余分な神経を使わない為にも、貸してくれるうちに借入を行うことは、十分メリットがあると考えます。

もちろん、余分なお金があるからと言って無駄遣いをしたり、お金を生み出さないものに使ってはいけませんが。

 

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まとめ

事業の借入金と個人の借金を混同して考えないようにします。

女性経営者の方に多いですが、どうしても家計と混同しがちです。

繰り上げ返済をするのがいいのではなく、事業の継続のために必要なコストとして考えることも大事です。

また、困ったときにすぐには貸してくれるとも限りません。

日ごろから借りておけば、その分貸してもらいやすくなります。

借入金と上手に付き合うのが、小さな会社の経営には重要です。

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