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【経営】カーボンニュートラルを考える。小さな企業のビジネスチャンスという捉え方

【経営】カーボンニュートラルを考える。小さな企業のビジネスチャンスという捉え方

夏になり、とても暑い日が続いています。

私スタッフSiは暑い地域に住んでおり、連日気温が30度後半になる日に悩まされています。

日本だけでなく、アジア各地また欧米各地が猛烈な熱波に覆われ、スペインやイタリア、ギリシャや中国、アメリカなど世界各地で40度を越す気温が記録されています。

BBCによると、2023年は世界中が最も暑い年になると予想されているそうです。

 

カーボンニュートラルを考える。小さな企業のビジネスチャンスという捉え方

雨雲の猛烈な発達による大雨や山火事など、気温上昇による災害が世界中で多く発生しています。

地球の平均気温はイギリスの産業革命以降、上昇を続けおり、世界の平均気温は産業革命前と比べてすでに1.1度上昇しています。

後述のパリ協定では、世界の平均気温の気温上昇の差を産業革命前と比べて2.0度に抑える、できれば1.5度に抑える努力をする、ということが定められていますが、2023年は短期的に1.5度に達するだろうと言われています。

気象庁のHPに公開されている1991年から2020年の平均を0とした世界の平均気温のグラフを見ると、1890年は平均気温の偏差が-1.0くらいだったのがほぼ右肩上がりで0.5近くまで(合計1.5度近くまで)上昇していることがわかります。

<画像引用:気象庁 世界の年平均気温https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html

 

平均気温が1、2度の違いであれば、影響は少ないのではと感じるかもしれません。

しかし、身近な例を見ると影響が大きいことがわかります。
日本の平均気温はここ30年で0.6度上昇しています。たった0.6度の平均気温の上昇で、ここ数年特に異常気象による災害が増えているのを目の当たりにすると、たった数度平均気温が上がるだけで環境が激変することがわかります。

地球規模での対応が求められています。

 

世界の取り組み

気候変動は,地球全体の問題であり、先進国,開発途上国は関係なく国際社会が団結して取り組んでいく必要があります。

世界では、2012年に国連で「国連気候変動枠組条約」が採択され、それに基づき2015年から,国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)が毎年開催されています。

1997年にCOP3で採択された「京都議定書」を耳にされたことがある人も多いのではないでしょうか。

京都議定書は2020年までの温室効果ガス排出削減の目標を定める枠組みです。先進国のみに削減義務が課されましたが、その後中国・インドといった新興国を含む開発途上国の温室効果ガス排出量が急増していったことによりあたらな枠組みの構築に取り組んでいきました。

そして、各国との交渉の結果、2015年にフランスのパリで行われたCOP21で「パリ協定」が採択されました。

2020年から運用が開始されています。

パリ協定は先進国・開発途上国の区別なく気候変動対策の行動をすることを義務付けた枠組みです。パリ協定の概要は下記のようになっています。

 

・世界共通の長期目標として2℃目標の設定。1.5℃に抑える努力を追求すること。

・主要排出国を含む全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新すること。

・全ての国が共通かつ柔軟な方法で実施状況を報告し、レビューを受けること。

・適応の長期目標の設定、各国の適応計画プロセスや行動の実施、適応報告書の提出と定期的更新。

・イノベーションの重要性の位置付け。

・5年ごとに世界全体としての実施状況を検討する仕組み(グローバル・ストックテイク)。

・先進国による資金の提供。これに加えて、途上国も自主的に資金を提供すること。

・二国間クレジット制度(JCM)も含めた市場メカニズムの活用。

<引用:外務省HP「2020年以降の枠組み:パリ協定」https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000119.html

 

日本の取り組み

日本では、2020年10月菅総理(当時)がの臨時国会で「2050年カーボンニュートラル宣言」を行いました。

「我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」

それは法律でも定められています。

1997年の京都議定書の採択を受けて1998年に「地球温暖化対策推進法(温対法)」が制定されました。

目標達成のために何度も改正されていますが、2021年に、上述した2050年カーボンニュートラル宣言をうけ、カーボンニュートラルを基本理念に位置づけ再エネを活用した脱炭素化の取り組みや企業の排出量情報のデジタル化、オープンデータ化を推進する法律に改正されました。

また、2022年には脱炭素ビジネスへの投資、支援を目的とした株式会社脱炭素化支援機構を設立、また、国が地方公共団体へ財政上の措置に努めるように改正されました。

国が制度的にも資金的にも積極的に働きかけを行っています。

 

カーボンニュートラル、脱炭素って何?

そもそも「カーボンニュートラル」「脱炭素」とはどのような意味なのでしょうか。

カーボンとは炭素(元素記号C)のことで、ニュートラルは出した量と同じ量を吸収・除去することにより実質的にゼロにすることです。

日本が目指すカーボンニュートラルでは、カーボンそのものである二酸化炭素の他に「温室効果ガス」の一部であるメタンや窒素なども含まれます。

 

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します

2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」※ から、植林、森林管理などによる「吸収量」※ を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。

※人為的なもの

<引用:環境省 脱炭素ポータルより「カーボンニュートラルとは」https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/

 

<画像引用:資源エネルギー庁「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの? https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/carbon_neutral_01.html

 

脱炭素とは

地球温暖化の原因となるCO2などの温室効果ガスの排出を防ぐために、石油や石炭などの化石燃料から脱却すること。

太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギーの利用を進めるなど、社会全体を低炭素化する努力を続けた結果としてもたらされる持続可能な世の中が脱炭素社会だ。

<引用:緑のgoo「脱炭素」 https://www.goo.ne.jp/green/business/word/issue/S00312.html#:~:text=%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0,%E3%81%8C%E8%84%B1%E7%82%AD%E7%B4%A0%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%A0%E3%80%82

 

温室効果ガスは化石燃料(炭素)を使用することにより増加します。

脱炭素(石油・石炭などの化石燃料を使わなくすること)をすることにより、二酸化炭素を主とした温室効果ガスの排出量を減らし、また、それとあわせて吸収・除去への取り組みをすることにより実現できるのがカーボンニュートラルです。

今の排出量のままでは到底吸収・除去しきれないため、脱炭素への力強い取り組みが必要なのです。

カーボンニュートラルは達成したい未来の姿、脱炭素は達成するための手段と考えます。

 

もう一つの目的~それは、脱炭素への挑戦を、次の経済成長の原動力につなげるため

地球温暖化、カーボンニュートラルというと、問題が大きすぎて、小さな企業には取り組みにくいと感じるかもしれません。

ですが、小さな企業でもビジネスチャンスと捉える事で、自社の事業にプラスの取り組みを行うことができると考えます。

「できるだけ石油・石炭などの化石燃料を使わなくする(脱炭素)」であれば取り組みやすいのではないでしょうか。

例えば、自社で使っている商品の原料を一部でも石油由来ではないものにすることや、社用車の買い替え時に水素と酸素で発電する燃料電池自動車(FCV)にするなどです。

なお、ものづくり補助金(グリーン枠)、事業再構築補助金(グリーン成長枠)のように、カーボンニュートラル達成のための脱炭素化への補助金や、「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」といった、FCVを含めたクリーンエネルギー自動車への補助金もあります。

上記のように、国が脱炭素に向けての動きを強化している理由は、温室効果ガスの排出量を減らしてカーボンニュートラルを実現する事の他にもう一つあります。

 

それは、脱炭素への挑戦を、次の経済成長の原動力につなげるためです。

世界中でカーボンニュートラル・脱炭素への取り組みに対して資金を集めるチャンスが多くなっています。

また、脱炭素は一時的な取り組みではなく、今後地球が続く限り取り組んでいかなくてはならないことですので、需要が今後途切れることはありません。

脱炭素など温暖化対策になる事業を考えるには、現在の枠組みを壊す何かが必要で、その何かを生み出すのに企業の大小は関係ないと考えます。

 

大企業・自治体などは法律で削減すること数値の報告が義務化~小さな企業にとってもビジネスチャンス

小さな企業にとってもビジネスチャンスである理由はもう一つあります。

大企業・自治体などは法律で削減すること数値の報告が義務化されています。

脱炭素の取り組みは、大企業にとっても自治体にとっても組織内だけでは達成が難しい取り組みです。

大企業のホームページで脱炭素の取り組みを調べると、「関係会社もぜひ協力してほしい」という切実な訴えが載っているのを見かけます。

小さな企業一つで脱炭素の取り組みをするのは難しいですが、大企業と関わる仕事で小さくても脱炭素の取り組みができれば、それは取引先にとってプラスになり、翻って自社の信頼度のアップに貢献、そして強みになると考えます。

 

脱炭素への取り組みは中小企業庁のHPなどに事例が紹介されています。

①経済産業省「中小企業支援機関によるカーボンニュートラル・アクションプラン」他

https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/SME/index.html

②経済産業省・環境省「中小企業等のカーボンニュートラル支援策(PDFファイル)

https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/SME/pamphlet/pamphlet2022fy01.pdf

③環境省「中小規模事業者向けの脱炭素経営導入 事例集」(PDFファイル)

https://www.env.go.jp/content/000114657.pdf

 

ぜひ取り組んで、自社の利益につなげながら脱炭素も達成していくことをお勧めします。

 

参考URL

BBC

「【解説】 なぜ今年の夏はこんなに暑いのか 世界各地で最高気温を更新」

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-66230119

気象庁 日本の年平均気温

https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn.html

外務省 Vol.150 パリ協定 - 歴史的合意に至るまでの道のり

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol150/index.html

イギリス気象庁(MetOffice) 2023 set to be tenth consecutive year at 1°C or above

https://www.metoffice.gov.uk/about-us/press-office/news/weather-and-climate/2022/2023-global-temperature-forecast

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