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【経営】SWOT分析・VRIO分析「強み」の見つけ方
投稿日 2022.06.15 最終更新日 2022.07.04
強みの見つけ方
中小企業の経営戦略のセオリーは「強み」を活かすこととされています。
ですが、多くの経営者や従業員の方は、強み自体を把握されていなかったり、過去の強みを引きずっていたりと、実際にしっかりと把握できていることは少ないです。
また、「強みなんかないよ」と諦められていたり、考えたことも無かったりする方も多くいます。
意外と会社の中にいる人には気づかないことが多いです。
では、強みのない会社がほとんどなのでしょうか。
そんなことはありません。
全く強みがなければ、これまで事業も営めず存続できなかったはずです。
では、どのようにして自社の強みを見つければ良いのでしょうか?
なぜ顧客は自社にお金を払ってくれているのか
強みを見つけるにはいろいろな角度から考えてみます。
ただし、ベースにある考え方は「なぜ顧客は自社にお金を払ってくれているのか」です。
それを意識した上で、いろいろな角度から考えてみます。
■これまでの歴史を振り返る
強みを見つける一つ目の方法は、自社のこれまでの歴史を振り返ることです。
創業からこれまでには、さまざまな困難があったはずです。
しかし、その様々な困難を乗り越えて現在まで事業を営んでいることは、何かしらの強みを持っているからこそになります。
自社の歴史を振り返り、その時に提供していた商品やサービスは何だったのか、その時の周りの環境はどうだったのか、お客さんにはどんな声をかけてもらっていたのか、を考えます。
また、それらがこれまでどのように変化をしてきたのか、過去の困難をどのようにして乗り切ってきたのかも振り返ります。
過去からの出来事を一覧表にしてみて眺めていると、自社の強みが浮かび上がってくるはずです。
■創業したきっかけ
事業を営んでいて何十年とたっている企業であれば、歴史を振り返って自社の強みを見つけるヒントになるかもしれません。
しかし、まだ業歴が浅い会社の場合には、創業したきっかけを思い出しすこともヒントになります。
わざわざリスクをとって創業をしたということは、そこにチャンスがあるからと考えたからだと思います。
創業を決意した時には、何らかの自信をもって臨んだことでしょう。
そして、周囲の応援もあったでしょう。
なぜ周囲の人は応援をしてくれたのか。
それはあなたに優れている点があったからです。
今一度振り返ってみたときに、見失っていた顧客にとってアピールできる強みが見つかるかもしれません。
■顧客の声
できれば、現在の顧客に聞いてみましょう。
一般の個人のお客さんが対象であれば、アンケートやイベントで直接聞くのが早いでしょう。
現在の顧客の声を聴くことは大事です。
物を売っている企業であれば、
「他社の商品でなく、なぜ弊社の商品を購入されたのですか?」
飲食店やサービス業なら
「他店でなく、なぜ当店をご利用されたのですか?」
と聞いてみます。
もし、自社内で考えていたことと相違があれば、それが強みのヒントになります。
■第三者に聞いてもらう
一人で考えるより、誰かと話をしていると、様々なことに気付くことがあると思います。
まずは身近な人と話をして自社の強みについて考えてることも効果的です。
思いがけないヒントをくれるかもしれません。
経営者が考えていたことと従業員が思っていることに違いがあることはよくあります。
また、自社と関係のない第三者に聞いてもらうほうがより効果的です。
身近な人ですと、考えが似ていたり、業界の常識に縛られていたりします。
第三者の場合ですと、そのような固定概念がない分、素直に御社の強みのヒントになるきっかけを答えてくれるかもしれません。
私の経験からもよく「そのような視点があったのですね」と言われます。
その業界を深く知らないため、客観的に見れるからだと思います。
■出てきた強みは簡単にマネされないか
いろいろと自社の強みがでてきたら、今度はそれが本当に自社の強みかを考えます。
複数の「顧客が自社にお金を払ってくれている理由」が出てくると思います。
しかし、それらは現時点での強みとなり、出てきた強みをそのまま活かした戦略をとるのもいいですが、ここでもう一歩踏み込んで考えてみましょう
「その強みは競合に簡単にマネされないか」を考えます。
もし簡単にマネをされることだと、施策を行ったとたんに競合にマネをされてしまい、いずれ強みではなくなってしまいます。
そこで、強みとなる基となること、いわゆる「強みの源泉」は何かを考えます。
具体的に言えば、「質の高いサービスを提供できる従業員と教育の仕組み」だったり、「安く品物を提供できる仕入れ先との関係性や仕組み」などとなります。
上記の考え方はVRIO分析の中に含まれます。
企業の経営資源を分析するVRIO分析
VRIO分析とは、経営学者であるジェイ・B・バーニーが提唱したフレームワークです。
企業の持っている経営資源が「持続的な競争優位の源泉」なのかどうかを判断するために4つの切り口で考えます。
ちなみに、バーニー氏が定義した経営資源とは
- 経営資源=有形資産(立地など)+無形資産(ブランドなど)+組織的能力(経営判断や仕組みなど)
となります。
持続的な競争優位性の源泉となる4つの判断基準
では、持続的な競争優位背の源泉となる4つの判断基準を見ていきましょう。
◇Value 経済価値
自社の持つ経営資源は、「顧客にとって価値があるのか」で考えます。
ここで言う価値とは財務面での価値となり、市場に対してどの程度生み出しているのかが判断基準となります。
かなり大雑把に言えば、商圏でのシェアをどれくらい持っているかで計れると思います。
シェアが高ければ、市場をコントロールしやすくなるので、強みと言えます。
◇Rarity 希少性
自社の持つ経営資源は、「他社が手に入れにくいものなのか」で考えます。
自社でしか取り扱えない商品があると、希少性が高いと言えます。
普通にお金を出せば誰でも手に入れることができることができるものは、希少性が高くないとなります。
お金を出しても他社が手に入れられないものがあれば、強みと言えます。
例えば、特定商品の独占販売権を保有していたり、特別な仕入れルートで自社しか扱えない、自社しか作れないものであったりします。
◇Imitability 模倣困難性
自社の持つ経営資源は、「他社にマネされにくいのか」で考えます。
特許などで守られているものなどは、わかりやすい模倣困難性です。また、時間をかけてでしか習得できないようなものも、模倣困難性が高いと言えます。
他社が知ったところで、簡単にマネをされないものがあれば、強みと言えます。
例えば、ビジネスの仕組みであったり、教育システムによる人員の質であったりします。
◇Organization 組織
「自社の持つ経営資源を有効に活用できる組織であるか」で考えます。
いくら優れた経営資源を保有していても、組織が整っていないと活用できないということです。
企業は人の集まりであるため、組織力も強みとなりえます。
VRIO分析の問題点
強みの源泉を知るための切り口としてVRIO分析は有効ですが、問題点もあります。
実は、バーニー氏がVRIO分析の説明(1996年)に、PC販売のDELLをモデルにしました。
しかし、DELLが分析当時持ち合わせてた競争優位は永続せず、その後苦境の時代がありました。
それは、外部環境の変化を考慮できていなかったためです。
また、経済価値の分析があいまいとなる部分もマイナスでした。(ですので、今回は強引に商圏によるシェアを例としてます)
VRIO分析は現時点での現状説明に用いる
では、VRIO分析は意味のないものなのでしょうか?
決してそんなことはなく、自社の現状把握には役に立ちます。
SWOT分析で行う「強み」の裏付けに、4つの切り口を使います。
「経済価値」「希少性」「模倣困難性」「組織」
が、現時点で競合より優れていればかなり強い「強み」になります。
また、将来に向けての「強み」の作り方を考えるために用いることができます。
中小企業では「希少性」や「模倣困難性」「組織」を強みとして育てていくことで、活路を見いだし、経営基盤の強化につながります。
経営戦略を考えるうえでも、施策を行うに際に仕組みを考えて行うことは、結果として「強み」を手に入れることとなります。
自社も絶えず進化をし続けることが必要です。
その際に、どの方向性に向かえばいいのか?を考えるとき、「希少性」、「模倣困難性」と「組織」の強化を念頭に入れて経営を行うことは、経営戦略のヒントとなります。
強みの裏付けは数字
強みが実際数字に結び付いていると、説得力が増します。
数字に結び付いていれば、より強い「強み」と言えます。
数字の裏付けができるように、管理の仕組みを見直し、実際のところはどうなのかの確認をすることが必要です。
ただし、どこにも扱っていない商品や誰にもできない技術と言っても、顧客が価値を見出してくれなければそれは強みになっていません。
簡単にマネされない強みとなることも、数字に結び付かず売上に反映されていないこともあります。
その場合は、どのようにして売り上げに結び付けるのかというマーケティング発想での施策を考える必要があります。
中小企業診断士/ファイナンシャルプランニング技能士2級/全経簿記上級
神戸市出身
中小企業3社(食品製造・アパレル)で約20年間財務経理部門を担当。2017年に中小企業診断士として独立。2020年株式会社ノーティカル設立。
事業計画・資金計画の立案から金融機関折衝や資金調達、計画実行支援を中心に、経営改善や新規事業支援を行う。
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