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【会計】小さな会社の経営者向け会計講座|会計入力は貸借対照表の残高照合が大事
投稿日 2023.07.18 最終更新日 2024.10.28
私は会計処理を、自社で行うことが望ましいと考えています。
その最大の理由が、自社の状況を早期に把握して経営に役立てるためです。
「苦手なことは得意な人に任せる」とのことで、小さな会社の多くは会計処理を外注化(その多くが税理士事務所)をしていることが目に付きます。
【経営】会計データは鮮度が大事 2カ月遅れの試算表では活用しづらい
数字が苦手な人が小さな会社や個人事業主の経営者の方に多いのは、何となく肌感覚でわかります。
また、会計(簿記)ができる人を雇うほど余裕が無いのも理解してます。
そのため外注化されている会社が多いのですが、だいたいの会計情報が手元に届くのが2か月遅れ。
年に1回まとめて記帳をしてもらっている会社もあります。
経営状況の把握にタイムラグが生じているため、効果的な支援ができないことが長い間の課題でした。
最近はクラウド会計もかなり進化もしていますし、処理の半分以上はAIが自動でやってくれます。
そこで、いくつかのお客さんには自社内でできるように、一緒に会計処理の内製化に取組んでもらいました。
・・・が、私が想像していた以上に苦戦してしまいました。
ですがだんだんと、どこでつまづくのかがわかってきました。
今回は、マネーフォワードとfreeeの会計記帳支援をしてみた経験から、つまづくポイントと注意する点をお伝えします。
前回までの記事はこちら
貸借対照表の残高と実際の残高を照合しながら進める
会計を知らない人でも、マネーフォワードやfreeeなどのクラウド会計を使うことで会計処理ができます。
AIが自動で判断してくれるので、昔のように一つ一つ仕分け入力する必要が無くなったおかげです。
また、特にfreeeは会計がわからない人でも入力できるような工夫がされています。
そのため、損益計算書はそれなりに完成します。
そして経営者として気になるのは、儲かっているのか赤字なのかがわかる損益です。
ですが、たまたまなのかもしれませんが、全員が貸借対照表のことが理解できていませんでした。
ある人は、貸借対照表の残高がめちゃくちゃのまま2年間申告していました。
そして今回、記帳支援をしながら感じたことは「つどつど実際の残高と照合する概念が無い」ことでした。
まずは現金、預金の残高から合わせよう
クラウド会計の場合、預金はネットバンクなどのデータを吸い上げますので、数字をいじらない限り残高が間違うことは基本無いでしょう。
一方で、現金は照合できてないことも多く見受けられます。
現金で支払った領収書が入力できていない、個人で使ったお金の処理ができていない、などが主な原因でした。
売掛金を合わせよう
小さな会社の場合、請求書を発行すれば売り上げを計上すると思います。
複式簿記なので、その相手科目は売掛金と言う名の資産として計上されます。
当然ながら売掛金とは、得意先からもらうお金のことです。
まだ入記されていなくて、回収すべきお金がいくらあるのか?
回収すべきお金と売掛金の残高を合わせましょう。
売掛金の方が思っているより多ければ、二重で売上を計上している、回収しなければいけないお金がまだ残っていた、などが原因でした。
基本的には請求書を発行しないとお金はもらえませんし、約束を守らず無視する会社もあります。
また、相手先の事務処理ができていなくてほったらかしにされるケースもあります。
こちらから積極的に入金の催促をしないと、そのままほったらかしのケースが見うけられます。
資金繰りにダイレクトに響くので、売掛金の残高把握はとても大事です。
買掛金や未払金を合わせよう
買掛金は、仕入などに係る翌月以降に支払う残高です。
未払金は仕入以外の、翌月以降に支払う予定の残高です。
こちらも同様に、もらっている請求書と支払い予定を段取する必要があります。
支払うべきお金と買掛金の残高が合っているかの確認をしましょう。
支払漏れがあると信用問題に発展しますので、注意が必要です。
借入金残高と合せよう
借入金の残高を合わせます。
合せ方は、銀行からもらう返済予定表と照合します。
よくある間違いとして、引き落とされた金額全額を借入金、もしくは支払利息として処理しています。
返済予定表をみて、引き落とされた金額を分解しましょう。
以上のように、貸借対照表の項目の残高と実際を照合して合わせていきます。
社会保険・税金に注意
その他、間違いやすい個所は社会保険と税金です。
特に社会保険は、仕組みがわからない人にとっては何のことかわからず混乱してしまいます。
社会保険は、事業者負担と個人負担がある
従業員の社会保険の半分を事業者が負担する仕組みとなっています。
そのため社会保険負担が発生する従業員がいると、処理がややこしくなります。
税金も、個人が納める税金を事業主が代わりに納める決まりがあり、費用計上をしないためややこしいです。
処理の方法は顧問税理士に確認するのが一番ですが、お使いの会計ソフトにも記載されています。
預り金の概念が混乱の原因
社会保険や税金を支払いますが、そのお金は従業員から預かっているお金を代わりに払ってあげているのか、会社の費用として払っているのかを考える必要があります。
従業員から預かっているお金を代わりに払ってあげる場合、基本的な簿記の仕訳は
預り金/現預金
となります。
預り金は貸借対照表の負債に記載される勘定科目となりますので、損益計算書には関係してきません。
そのため、間違って処理をしている場合がありがちです。
さいごに
簿記の勉強をすると、発生主義や決算仕訳など色々ととっつきにくいと感じることが多いと思います。
当然簿記を知っているほうが何かと便利ですが、最近の会計ソフトはわかりやすくなっているので、苦手な場合は最低限の知識でも大丈夫なようになっています。
まずは
「残高を合わせる」
「社会保険と源泉徴収の支払い」
に気をつけるだけで月次試算表の正確性がグッと増し、使える会計資料となります。
中小企業診断士/ファイナンシャルプランニング技能士2級/全経簿記上級
神戸市出身
中小企業3社(食品製造・アパレル)で約20年間財務経理部門を担当。2017年に中小企業診断士として独立。2020年株式会社ノーティカル設立。
事業計画・資金計画の立案から金融機関折衝や資金調達、計画実行支援を中心に、経営改善や新規事業支援を行う。
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