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【補助金】補助金の外部支援専門家への報酬について
投稿日 2023.04.04 最終更新日 2024.10.28
補助金の申請を考えている事業者の方も多いと思いますが、問題は申請を自力でできるのかどうかではないでしょうか。
一からすべて自力で作成できない場合、2つのパターンが考えられます。
ひとつは、アドバイスを受けながら自社内で作成する方法。
もうひとつは、代わりに計画書を書いてもらう方法。
事業再構築補助金には下記のようなガイドがあります
なかなか親切に書いてくれているガイドブックです。
ガイドブックを読んで理解できるのであれば、自社内でも十分に採択される能力があると思います。
アドバイスを受けるにせよ、代わりに書いてもらうにせよ、気になるのは支払う金額ではないでしょうか。
サービスを受けるので、対価を支払うのは当然と思っていても、いくらくらいが相場なのか?採択されるかどうかもわからないものにお金を払う価値があるのか?など、気になる点もあると思います。
事業再構築補助金やものづくり補助金(現在は任意)では、申請時に外部の支援を受けた課の有無を入力する箇所がありますし、それは有償なのか無償なのかも記載します。有償の場合は金額も記載する必要があります。
事業再構築補助金のHPにはこのような記載がされています。
【事業計画の検討に際しての外部支援】
事業計画の検討に際して外部の支援を受ける場合には、提供するサービスの内容とかい離した高額な成功報酬等を請求する悪質な業者等にご注意ください。
申請した事業者の支援者のうち、約2/3が報酬なしでの支援を行っています。
また、第1回公募~第4回公募の認定経営革新等支援機関の報酬の状況の詳細についてはこちらをご覧ください。
なお、高額な成功報酬等を請求している疑いがある場合には、個別に申請支援の実態に関する調査を行うことがあります。(事業再構築補助金HPより)
これはいったいどういった事なのでしょうか?
ものづくり補助金は必須事項ではなくなりましたが、事業再構築補助金は「認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する」ことが必須の申請要件です。認定経営革新等支援機関の確認書が提出書類に必要となります。
必須条件なので認定経営革新等支援機関の協力が必要となるのですが、ここに報酬の有無が関係してきます。
補助金申請の高額な成功報酬とはなんなのか
認定経営革新等支援機関の確認書の添付が必要なため、どこかの支援機関に依頼することになると思います。
自力で作成する、金融機関や商工会議所などの公的機関の職員等にアドバイスを受けながら作成する。
また、顧問税理士が認定経営革新等支援機関で、何も言わず確認書を発行してくれる。
こういった場合では、報酬を求められることは無いと思います。
少なくとも私の周りでは聞いたことがありません。
報酬の発生有無は計画書にどれだけ携わったのか?公的機関か業として営んでいるか?
報酬発生の有無は、計画書作成にどれだけ携わったのか?
公的機関なのか業として営んでいるのか?
が関係してくると考えられます。
公的機関であれば、そもそも国や自治体などから報酬を得てますので、わざわざお客さんから報酬をもらうこともないでしょう。
事業再構築補助金の2/3が無報酬での支援とは考えにくい
では金融機関や商工会議所が認定経営革新等支援機関での支援者の場合、全てが無報酬なのか?と聞かれると、「それは考えにくい」と言わざるを得ません。
もし、「うちは無報酬で書いてもらって採択された」という企業がありましたら、それはめちゃくちゃラッキーでとてもありがたい支援先です。
ずっと大事に関係を維持することをお勧めします。
金融機関も商工会議所も書き手は少ない
金融機関や商工会議所の関係者に話を聞きますが、自力で作成する人はそもそもそんなにおらず、代わりに金融機関や商工会議所などで書いているのも数えるほどらしいです。
金融機関によると思いますが、本部の経営サポート本部のようなところや支店の一担当者が書いたりすることもあるようですが、できても数件。
なぜなら彼等も忙しく暇ではないから。
自店で取り扱えない場合は、外部の専門家を紹介することが一般的です。
また、専門部隊をそろえている金融機関もあるのですが、その場合は有償とのことでした。
金融機関は実績が欲しい
また、金融機関も「実績」が必要なようで、外部の支援先に計画書を書いてもらい、「確認書の発行だけをする」金融機関もあります。
このような場合、他の支援者がいたのかの入力する箇所があり報酬額を入力することになっていますが、そこにきちんと入力されているのかどうかは正直わかりません。
多くの事業者はどこかしらに作成を頼んでいると思う
現場の感覚では、それなりの事業者がどこかしらの人に作成を頼んでいるのではと思われます。
なぜなら、小規模事業者補助金のように簡単で採択率の高い補助金であれば事業者本人が書いても採択されるでしょう。
だからと言って、補助金の計画書に慣れている人と一般の事業者の方を比べて、同等の内容を書けるとも考えにくいところがあります。
事業再構築補助金は一般型であれば採択率は1/3程度となかなかの高難易度かと思いますので、一般の事業者の方の方が採択されていたとも考えにくいところです。
また、採択率が70%ほどの別枠の場合は自力で書かれている事業者も多いと思いますが、それなりの分量となるので委託するパターンが多いのではと推測します。
そのため、2/3が無報酬という情報は、鵜呑みにしにくいかと思います。
認定経営革新等支援機関は“採択率”を公表される
私も中小企業診断士で認定経営革新等支援機関ですが、むやみに確認書の発行はできません。
これは、商工会議所の職員の方も同じ意見でした。
なぜなら、責任が持てないからです。
補助金の採択発表には支援機関の名前が公表されます。
さらには認定経営革新等支援機関の質を上げる目的なのか、実績をわかりやすくするためなのか、補助金の採択率まで公表されるシステムとなってます。
そのため、安易に発行したくないなと言うところが正直あります。
中小企業庁経営支援部長は事業再構築補助金の報酬が高いと批判
こちらの動画
では中企業庁経営支援部長は報酬が高いと批判されております。
不謹慎だとまで言ってます。
なにを基準に高いとお話されているのかがよくわからないですが、
「成功報酬20%は高い 再構築の最後までならいい」
「採択だけなら2~3%が適正だ」
との事です。
20%の話は銀行が言ってたとの事ですが、何度聞いても「銀行が20%取っている」のか「支援者が20%取っている」のかは不明でした。
確かに「20%やったら結構とるなぁ」と感覚的には思います。
これが採択だけの20%だと、なかなか強気だなと思います。
(当社では成功報酬を、採択時、交付決定時、補助金入金時に別けてトータル10%です)
また、名目を変えて着手金をトータルで60万円請求しているパターンも聞いたことがあり、「それはさすがにやりすぎだろ」と思いました。
「高額な成功報酬等を請求する悪質な業者等にご注意ください」とHPで注意を喚起するのなら、目安を示してあげるほうが親切だとは思うのですが。
我々としても提示しやすくなるので、「悪質な業者」の定義をぜひ、中小企業庁には示してもらいたいものです。
それとも、そこは民間の報酬に口出しすることになるので、言わないようにしているのかもしれませんが。
事業再構築補助金は第10回公募要領では、事業計画の作成自体を外部機関が行うことは認められなくなった
上記のような懸念もあり、とうとう事業再構築補助金は第10回公募から、計画書作成自体を外部機関が行うことが認められなくなりました。
本事業は、中小企業等の事業再構築への挑戦を後押しし、新たに取り組む事業の付加価値額を高めることを支援するものであり、申請者は事業計画の作成(検討やブラッシュアップのために認定経営革新等支援機関を含む外部機関の助言を受けることは差し支えございませんが、必ず申請者自身で作成してください。作成自体を外部機関が行うことは認められません。)、実行及び成果目標の達成に責任を持って取り組んでいただく必要があります。
(事業再構築補助金第10回公募要領より)
事業計画の検討に際して外部の支援を受ける場合には、提供するサービスの内容とかい離した高額な成功報酬等を請求する、経費の水増しを提案するなどの悪質な業者等にご注意ください。認定経営革新等支援機関及び申請書の作成を支援した外部支援者がいる場合は、事業計画書の「事業計画書作成支援者名」「作成支援報酬額」の欄に当該事業者名及び当該事業者に支払う報酬の内容(成功報酬の場合は、採択時に支払う金額)と契約期間を記載してください。申請支援の実態に関する調査を実施するとともに、トラブルが起きた場合の通報窓口を設置し、不適切な行為と認められる事案をとりまとめ、公表します。当該支援者が認定経営革新等支援機関である場合には、認定経営革新等支援機関名の公表、業務改善命令や認定取消に至る可能性があります。
(不適切な行為の例)
・提供するサービスの内容とかい離した高額な成功報酬等を申請者に請求する。
・金額や条件が不透明な契約を締結する。中小企業等に対して強引な働きかけを行う。
・費用の水増しなど(事業再構築補助金第10回公募要領より)
と、これまでよりも語句が強くなってます。
それだけ人任せにして補助金を受給した事業者が多く、中小企業庁の思惑通りに進んでいないという実態を反映してのことでしょう。
過去にはフルーツサンド事業の再構築計画で、同じ事業計画書が複数出されて採択されていたといったこともありました。
そのため。その辺を踏まえているのではないかなと思います。
事業再構築補助金の「必ず申請者自身で作成」とはどのような事なのかを事務局に確認
当社では現在、事業再構築補助金の策定支援を積極的に行っている訳ではありませんが、今後の事も踏まえて念のため事務局に確認しました。
すると、事務局側も歯切れが悪く、具体的に想定している訳では無さそうでした。
- 募集要項に記載通り、申請者自身で作成してください
- 支援機関と一緒に作成してもらうことは問題ありません
- 支援機関は、検討、ブラッシュアップ、助言はOKです
- 同席をしてその場で計画書を作成するのであれば、認められる可能性もあります
- あくまでも、必ず申請者自身で作成してください。
- 申請者自身で作成とは、計画書の作成自体の事と捉えています。
と言った感じでした。
事業者自身で作成することは、時間的にも、また、これまで作成したことが無ければ品質的にも高いものを作ることが困難であろうということは予想します。
そのため、外部のコンサル等に計画書の作成を依頼することは無くならないかとは思います。
また、誰が作成したのかの証明ができません。(AIに読み込ませれば、ある程度は判別できるかもしれませんが)
しかし、何かしらのトラブルや疑わしいことが生じたときには、明言はされてませんが採択取り消しなどの不利益があるかもしれません。
認定経営革新等支援機関及び申請書の作成を支援した外部支援者がいる場合は、事業計画書の「事業計画書作成支援者名」「作成支援報酬額」の欄に当該事業者名及び当該事業者に支払う報酬の内容(成功報酬の場合は、採択時に支払う金額)と契約期間を記載してください。
とありますので、アドバイスだけで高額な報酬を取るのはおかしいといった指摘を受ける可能性もあります。
現時点では事業再構築補助金が最も厳しい書き方をしていますが、今後は外部支援機関を利用する場合、これまで以上に注意が必要となってくるでしょう。
悪質なのかどうかは契約時にしっかり理解してもらえているかどうか
悪質なのかどうかは、契約時にしっかりと説明をして理解してもらっているかどうかが関係していると思います。
仮にトータル的に安くても、後から追加料金を言わると不快な気分にさせますし、あらかじめどこまでが業務範囲と伝えていなければトラブルにもなります。
成功報酬が20%でも、手厚くフォローしてくれるなど満足度があればトラブルも無いでしょう
。逆に成功報酬が3%でも、不満があれば悪質と言われかねません。
結局のところ、報酬額だけで他人がどうこう言える部分ではないと思います。
その事業者にとって必要な補助事業か
個人的には、世間からの受けも良くなく、管轄の中小企業庁から「高い」「悪徳」と同業者のように思われるのも本意ではありません。
また、補助金ハンターのように思われることも不本意です。
ですが、補助金は有効活用すれば、事業の発展の大きな助けになることも間違いありません。
実際、「補助金のおかげで設備が導入され、人生が変わるかもしれない」
と言われたこともあります。
当社の補助金申請業務に関しては
「その事業者にとって必要な補助事業」
と判断して、「経営改善のために、その事業者にとって必要である」、「その事業がうまくいくと社会的課題の解決につながりそう」、「事業自体が面白そう」と判断した時のみお受けしています。
補助事業計画書自体に価値を持たせる
補助金の事業計画書をそのまま金融機関へ提出して融資の依頼をされたお客さまは、「立派な資料ですね。これを見たら内容把握できるので問題ないです」と担当者に言われたそうです。
とても緊張していたのですが(慣れない人にとって金融機関は怖いところのようです)、気が楽になってその後は担当者との面談もスムーズに進んだそうです。
その方にとっては「採択されれば補助金がもらえる」以外にも、「融資を受けやすくなった」、「めちゃくちゃ緊張していたことが資料のおかげで、楽になれた」というメリットがあった訳です。
別に私が書いた計画書が良かったと言いたいのではなく、採択されようがされなかろうが、新たに計画を立てて着手しようとした事業を書面化することは、色々な使い方ができることを示しています。
補助金は採択されれば成功ではない
中企業庁経営支援部長の話のなかで同意したことがあります。
それは
「採択は成功ではない。補助事業がうまくいくことが成功である」
との話です。
結局は補助事業自体がうまくいくことが大事であって、計画通りに収益が伸びれば成功と言えます。
成功報酬と呼ばず、採択報酬や補助金入金報酬とでも言い換えたほうが良いかもしれないですね。
そもそも的に、補助金は自社で申請することがベストと考えてます。
外部の支援先に協力してもらう時は、自社の方針を明確にしているほうが良いでしょう
・あくまで補助金の入金さえしてくれればよい
・補助事業の支援も受けたい
それにより、支援先への期待が変わるので選ぶ支援先も変わるでしょう。
大手が良いのか、個人で行っているところがいいのか。
ドライに割り切るほうが良いのか、あれこれと伴走支援をして欲しいのか。
そして、事前に報酬額と支援範囲書面で示してもらい、納得した上で契約をされることをお勧めします。
中小企業診断士/ファイナンシャルプランニング技能士2級/全経簿記上級
神戸市出身
中小企業3社(食品製造・アパレル)で約20年間財務経理部門を担当。2017年に中小企業診断士として独立。2020年株式会社ノーティカル設立。
事業計画・資金計画の立案から金融機関折衝や資金調達、計画実行支援を中心に、経営改善や新規事業支援を行う。
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