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【融資】資本性ローンのメリットとデメリット 簡単に利用しづらく気軽に勧めにくい

【融資】資本性ローンのメリットとデメリット 簡単に利用しづらく気軽に勧めにくい

最近、資本性ローンに関する質問があります。

また、資本性ローンを利用したいと希望される経営者の方も増えてこられました。

情報を感度よくキャッチされる経営者の方はもちろん、「経営者からの知り合いから、資本性ローンを使ったほうがよいと言われたから使いたい」といった方など、以前に比べて資本性ローンの認知度が上がったため相談が増えています。

 

ですが、その内容を理解した上で希望されている感じでなく、メリットの部分にだけ注目してのことのようです。

 

資本性ローンの仕組みとは

資本性ローンは、主に日本政策金融公庫か商工中金で利用することが多いと思われます。

ここでは、日本政策金融公庫と商工中金の資本性ローンについて説明いたします。

 

日本政策金融公庫 挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)

日本政策金融公庫 新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)

商工中金 資本性劣後ローンのご案内

 

 

資本性ローンが他の融資と異なる大きな特長は主に4つ

①借入期間中は、元金返済が無い

②赤字の場合は金利が低い

③自己資本として“みなされる”

④無担保・無保証人

 

上記4つだけを捉えると、経営者からすると大変ありがたい制度です。

利用できるのであれば利用したいと考えるのは当然です。

ですが、メリットだけでなくデメリットもあります。

 

①借入期間中は、元金返済が無い。しかし原則繰り上げ返済できない。

決まった期間返済をしなくて良いので、資金繰りが圧倒的に楽になります。

業績が良くないのに元金の返済を進めると手元資金が減りますので、不足分は新たな融資を申し込む必要があります。

その都度金融機関に依頼をする必要もありますし、確実に融資を受けることができる確証もありません。

そのようなことを回避できるので、腰を据えて事業に集中しやすい環境が整うメリットがあります。

 

一方、一括返済になり基本的には繰り上げ返済ができません。

期日までに自己資金で返済できなければ、新たに公庫と交渉を行う、他の金融機関から調達する必要が発生します。

また、原則繰り上げ返済ができないため、仮に余剰資金があっても利息負担を続けることになり、コスト削減策として繰り上げ返済ができなくなります。

このようなデメリットもありますが、交渉や新たな調達に関しては一般的な借入の場合でも同様ですし、繰り上げ返済を検討するのも予定より収益が上がっている状況で余剰資金に使い道がない場合なので、大きなデメリットとは言えないでしょう。

 

②赤字の場合は金利が低い。反面、黒字の場合は金利が高い

赤字の場合は一般的に借入するより金利が低く抑えられます。

そのため、赤字企業で経営改善中である会社、スタートアップ起業でビジネスモデルの特性から、数年は赤字が続くような会社の場合、大きなメリットになります。

挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)で0.9%、新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)、商工中金の資本性劣後ローンは0.5%とそれなりの低金利となります。

 

反面、黒字の年は高い金利となります。日本政策金融公庫の挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)場合、黒字だと5%~6%の金利となります。

新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)、商工中金の資本性劣後ローンの場合は2.6%~2.95%と低く抑えられています。

ですが、業績を回復した会社であればもう少し低く調達できる可能性もあります。

黒字になると金利負担が大きくなる点がデメリットです。

 

③自己資本として“みなされる”が、あくまでも“みなされる”にすぎない

一般的な借入金と違い、一番大きな特徴は「自己資本としてみなされる」ことでしょう。

自己資本としてみなしてもらえますので、財務指標上では安全性が高いと計算されます。

安全性が高いとみなされると、なぜ良いのかと言えば、他の金融機関がお金を貸しやすくなるためです。

そのため、資金調達がしやすい環境となり、経営改善が必要な企業、ベンチャー企業などにとっては、大きな資金を手に入れやすいメリットがあります。

 

ですがあくまでも“みなされる”だけであり、貸し手の金融機関も財務指標の安全性だけを見て融資する訳ではありません。

当然ながら、事業性評価もされますし、足元の資金繰りが問題なく返済できる能力があるのかどうかが最優先で検討されます。

デメリットではありませんが、過度な期待はしない方がよいと考えます。

 

④無担保・無保証人

無担保・無保証で融資が受けられるのは大きなメリットです。

特に、経営改善中や、実績のないベンチャー企業であれば代表者保証は求められるケースがほとんどでしょう。

そのため、担保のない会社や、事業と個人を切り離して代表者保証の必要が無い融資が受けられる無保証は大きなメリットです。

 

一方で、資本性ローンだけの調達で必要資金に達せず、他の金融機関から借入を行う必要があり、その時に代表者保証が求められるようであれば、大きなメリットとも言い難くなります。

 

そもそも資本性ローンは借りにくい

そもそも的な話をすれば、資本性ローンは借りにくい融資制度です。

その理由の大前提として、資本性ローンは劣後債と呼ばれ、法的倒産手続きの開始決定が裁判所によってなされた場合、すべての債務(償還順位が同等以下とされているものを除く)に償還順位が劣後されるからです。

簡単に言えば、返済の優先順位が通常の借入より後になるので、その分貸し手のリスクが高いからです。

 

そのため、利用するためのハードルが高いです。

新規事業でも経営改善でも、それ相応の事業計画や民間金融機関との協力の取付けなどが必要になります。

 

資本性ローンは基本的に、経営改善中で業績の見込みがある会社を支援する、有望な事業に取り組むベンチャー企業を支援することが目的になります。

そのため、一般的な企業が利用することを想定されておらず、融資を受けにくい制度と言えます。

 

風邪をひいてないのに、風邪薬を飲むのはおかしい

ある金融機関の支店長に資本性ローンの事についてお聞きしたところ、

「資本性ローンは経営改善中、ベンチャー企業などで使われる制度として認識しており、いわば風邪を引いた会社に処方される薬なようなものと考えてます。そのため、風邪もひいていない会社、要は一般企業が資本性ローンで借りていると、何かあるのではないか?と疑って考える事もあるでしょう。風邪もひいていない人に風邪薬を処方するのを、良いとは言えないとの同じです。」

と回答されました。

 

この考えが絶対正しいとは言い切りませんが、現場の感覚を的確に言い表していると感じました。

 

多少の経営改善中、一般の会社であれば資本性ローンはおすすめしない

①~④を総合的に考えると、普通に借りるほうが早く簡単で、コスト負担も無いと考えます。

 

また、普通に借りることができない企業は、資本性ローンを使うことは不可能の考えて良いでしょう。

 

資本性ローンが使える会社は、「将来が有望と客観的に示せる」ことが大前提です。

また、メインバンクがしっかりと企業を支え、その上で、資本性ローンの活用が望ましいと考えられる場合であると考えます。

 

支えれば業績が回復する見込みがあり、業績が回復するまでの元金返済が資金繰りの足かせとなるので、資本性ローンで返済負担を減らし、なおかつ、金融機関が融資を出しやすい状況を作り出して協調融資を行い、必要な資金を確保する。

といった会社に使う融資制度と考えます。

 

さいごに

様々な制度が国から出されますが、メリットだけでなくデメリットも考え、その上で総合的に考える必要があります。

また、制度として存在しても、実際の利用のしやすさなどは、置かれている状況や地域、取引金融機関、支店長、担当者によっても変わります。

経営者間の情報は有益な場合もありますが、会社によって状況が異なりA社でうまくいってもB社では当てはまらないことは多くありますので、鵜呑みにせずに判断されることをお勧めします。

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