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【分析】障がいのある方向けのアパレルブランド
投稿日 2023.03.28 最終更新日 2024.10.28
2月28日付ブログ「【分析】障がいのある方や介助する方を取り巻くアパレル環境」にて、私スタッフSiが知人の話を聞いたりインターネット上のアンケートを調べたりして、障がいのある人がファッションを楽しむには数々のハードルがあるということをまとめました。
今回は、「国内」「国外」で障がいのある人向けに展開されているアパレルブランドを調べましたので紹介いたします。
今回も関連する団体につきましては敬称略で記載させていただきます。ご了承ください。
国内の障がいのある人向けアパレルブランド
まずは日本国内のアパレルブランドを紹介します。
①UNITED CREATIONS 041 with ユナイテッドアローズ
https://store.united-arrows.co.jp/brand/ua/data/catalog/041/
【概要】
2018年4月にユナイテッドアローズ社(国内外のデザイナーズブランドとオリジナル企画の洋服を企画・販売するアパレル企業)が社会課題と向き合うソーシャルユニット「Social WEnnovators」とコラボして作った、インクルーシブデザインの発想を取り入れたアパレルブランドです。
【主な商品の価格】
子供用スタイになるシャツ、ワンピース:¥4,180〜¥5.500
大人用フルオープンパンツ:¥19,800、スカート:¥17,600
【コメント】
大手のアパレル企業が数年前からインクルーシブデザインを取り入れて洋服を作っているということに驚きました。ユナイテッドアローズらしい、おしゃれでスマートな服で、また服それぞれのストーリーも公開されておりとても素敵だと感じました。
②SOLIT!
【概要】
「多様な人も、地球環境も、誰もどれも取り残さない」をコンセプトに「サステナビリティ」と「インクルージョン」に力を入れてデザインした服を企画・販売しているアパレルブランドです。
【主な商品の価格】
Tシャツ:¥5,000
各種シャツ:¥11,000〜¥11,697
ジャケット:¥24,120
パンツ:¥13,790
※袖丈を左右それぞれオーダーできたり、ジャケットは袖口のタイプやボタンまで選だり、注文時に細かいところまで指定して購入することができます。パンツも丈だけではなく、ファスナーの有無やポケットの有無・タイプなども選ぶことが可能です。
【コメント】
障がいの有無や性別にとらわれず自由に選べ・カスタマイズできる魅力的な服やバッグが魅力的です。個人的にThought ShirtsとDawn Jacketをぜひ購入して着てみたいと思いました。
③ピロレーシング
https://www.rakuten.ne.jp/gold/piroracing/
【概要】
元レーシングドライバーだった社長さんが事故で頚髄損傷により車椅子生活になったため、モードフィッター第一人者だった母親と一緒に試行錯誤して洋服を作り上げてできた車椅子ユーザーに特化したアパレルブランドです。
【主な商品の価格】
BEAMSコラボヘリクルーパンツ:¥25,300
パンツ(ジーンズ、チノパン他):¥11,000〜¥38,500
【コメント】
アンダーウェアやお直しサービス、車椅子用クッション他洋服以外の雑貨も多数あるようでした。
「BEAMS」とのコラボ製品や、品質と藍染の技術の高さで有名な岡山のデニムを使ったデニムパンツなど、格好良い商品を販売しています。
④OHK
【概要】
「すべての人に、着やすさから驚きと喜びを届けたい」という想いから生まれた「片手で着られる」ユニバーサルファッションを展開するアパレルブランドです。
ボタンや紐などにまで理学療法士のアイデアを取り入れ、着やすくシンプルで着こなしやすいデザインを目指した洋服を展開しています。
【主な商品の価格】
サルエルパンツ:¥11,000〜¥25,300
トップス(ジャケット、プルオーバー、ブラウス):¥7,700〜¥30,800
【コメント】
インド綿を使った軽やかな雰囲気の服は、色合いも柔らかく雰囲気がとても素敵です。腰ゴムも柔らかいものを使っているそうで、商品ページを見るだけでも柔らかさと着心地の良さが伝わってきます。
また、ギフトボックスにもこだわりがあり、片手で開けられるおしゃれなデザインがとても素敵です。
⑤トミーヒルフィガーアダプティブ
https://japan.tommy.com/tommy-adaptive/
【概要】
自閉症の子育てを経験したトミー・ヒルフィガー本人が、自身の経験を元にデザインプロセスを組み合わせ、障がいのある人たちが着やすいファッションを提供するために生まれたアパレルブランドです。
2016年に子ども向け、2017年に大人向けのコレクションが米国で発売され、2020年からは日本でも販売されています。今後はヨーロッパを含む多くの国に展開する予定です。
※アダプティブとは「最適化、適応、適応性のある」という意味で、ファッションにおけるアダプティブとは、洋服にちょっとした工夫と調整を加え不自由を改善するという考えです。アメリカを含め、海外の障がいのある人向けファッションはアダプティブがブランド名についていたり、アダプティブというカテゴリに分けられている場合が多くあります。
【主な商品の価格】
Tシャツ:¥4,400〜¥5,500
パンツ(チノパン、デニム、スウェット他):¥8,800〜¥13,200
ジャケット:¥11,000〜¥18,700
シャツ、ポロシャツ:¥8,800〜¥11,000
他、ワンピースなど
【コメント】
アメリカのアパレルブランドですが、サイトが日本語対応であることと、日本国内でポップアップショップを展開することがあるようですので国内に入れました。
トミーヒルフィガーらしいアメリカンテイストたっぷりの洋服で、かつ細かいところまで配慮が行き届いている機能性に感動を覚えました。
マジックテープと磁石を併用したパンツの前開き部分はとても使いやすそうですし、同じ開き方だけでなく、パンツそれぞれが別の配慮をされたデザインになっています。
Tシャツも首の部分が大きく開くように磁石仕立てになっていたり、ジャケットも前だけでなく後ろもマジックテープ仕立てで開くようになっていたり、工夫たっぷりの洋服がたくさん販売されています。
上記で紹介した各アパレルブランドと価格帯がほとんど変わりない事も驚きでした。
国外の障がいのある人向けファッションブランド
続いて、国外の障がい者のある人向けファッションブランドを、簡単にですが紹介させていただきます。
アメリカ在住の友人に聞いたりインターネットで調べたりして、いくつかピックアップいたしました。
※為替相場は2023年3月26日のものです。
①Target(アメリカ)
※リンク先はターゲットのサイト内で「adaptive clothing women」を検索した結果です。
アメリカで人気のある大型ディスカウントスーパーマケットです。
子供向けから大人向けまで、幅広い年代・デザインのアダプティブな洋服を展開しています。
ジーンズが$29.99〜$32.00(日本円で約3,921円〜4,184円)、学生用のオックスフォードシャツが$37.95(日本円で約4,962円)、など、比較的低価格で販売されています。
※配送先:アメリカ国内のみ。
②TW0 BLIND BROTHERS(アメリカ)
https://twoblindbrothers.com/pages/reveal
視覚障がいのある兄弟二人が始めたアパレルブランドで、布地がとてもやわらかく、手触りだけでクオリティの高さがわかる服を展開しているそうです。
タグにある点字表示に加え、服の裾にも刺繍で服の色を示す点字を施しています。
価格帯はTシャツが$35.00〜$70.00(約4,576円〜9,152円)、パンツが$85.00〜$125.00(約11,113円〜16,343円)、靴下やバッグ、サングラス、スリッパなども販売されています。
洗練された雰囲気のホームページが目を引きますが、一番興味をひかれたのはデザイナーの兄弟が患っている視覚障がいの症状を体験できる仕掛けがあるところです。
※配送範囲:アメリカ国内、カナダ。
③Ostomysecrets(アメリカ)
https://www.ostomysecrets.com/
オストメイト(人工肛門・人工膀胱保有者)の方々向けにスタイリッシュで機能的な下着と水着およびスキンケア商品を展開しています。
価格帯は、下着が男女ともに$29.99〜$39.99(日本円で約¥3,921〜¥5,229)、水着が$39.99〜$59.99(日本円で約¥5,229〜¥7,843)です。
※配送範囲:アメリカ国内、プエルトリコ。
④Bealies Adaptive Wear(イギリス)
https://www.bealiesadaptivewear.co.uk/
母親であるキャロンが、脊髄脳卒中を患った息子のために作ったジョガーパンツが起点となってできたアパレルブランドです。息子自身がカテーテルを挿入するために、息子が好きなジョガーパンツに開口をつけたのが評判を呼び販売に至ったようです。
子供用ジョガーパンツ(25ポンド、日本円で約¥3,997)、大人用ジョガーパンツ(40ポンド、日本円で約¥6,395)、ショーツ(45ポンド、日本円で約¥7,194)およびTシャツ(機能性はない)を販売しています。
※「英国以外では無料で返品できません。」とありますので、国外配送にも対応してくれるかもしれません。
⑤Auf Augenhoehe(アウフ・アウゲンヘーエ)(ドイツ)
https://www.aufaugenhoehe.design/en
ドイツにある小人症専門のアパレルブランドです。
Tシャツやブラウス、パンツ、ジャケット、タイツなど多くの種類の商品が販売されています。
ウエディングドレスやスーツなどのカスタムメイドも行っているようです。
国際発送に対応しており、AMEXカードの他、ApplePayとGooglePayに対応しています。
⑥I Zアダプティブ(カナダ)
フェイクレザーのレギンス(¥13,100)や、ジッパーで足の甲部分が全開になるスニーカー(¥11,600)、マグネットで開閉できるピーコートやトレンチコート、ジャケットなど、スタイリッシュで機能性も高い衣料品を多く扱っているアパレルブランドです。
国際発送に対応している上に、日本からの接続には日本円で価格を表示してくれます。GoogleCromeで接続すればサイト自体を翻訳してくれるためストレスなく買い物ができます。
こちらもApplePayとGooglePayや各種クレジットカードなどに対応しています。
まとめ
国内および国外のアパレルブランドを調べてみて、色々なアパレルブランドが障がいのある人に寄り添う服を作っているということを知りました。
それぞれが個性的で素敵な服を作っていて、調べていてワクワクする気持ちになりました。
特に、海外では小人症の人向けやオスメイト用下着・水着など、専門のアパレルブランドも多く見つけることができました。
取り扱い件数が多いアパレルブランドが多くあったことも印象的です。
日本では、私が調べた限りでは高齢の人向けの洋服は多く見つけたものの、若い人向けの服は上記で紹介しているアパレルブランド含め少ない印象を受けました。
また、ショップ内で取り扱っている商品数も少なく感じました。
デザイン性に優れているところが多いのですが、それに比例して価格も高めです。
普段使いの服として何枚も購入するのはためらう金額だと感じました。
障がいは人によって様々であるため、洋服に必要な機能も人によって全く異なります。
そのため、より多くの障がいのある人に合わせられるように機能をつけると高額になってしまうという難しい問題があるのだと感じます。
その問題を解決できるかもしれない方法の一つが、インクルーシブデザインではないかと考えます。
先日記事を書かせていただいたインクルーシブデザイン体験会で「リードユーザーとの行動・観察により、その困り事を自分ごととして見て、特定の人の困りごとではなく抽象化して多様な人の困りごと(社会課題)とし、そこにユーザーから見た自社の強みを活かしてどう解決するかという問いを作る事(問題定義)が新たな価値を持つ問題解決方法が見つかる=イノベーションを起こす」ということを学びました。
「【経営】「インクルーシブデザイン」とは何か。体験会へ参加し、本を読んで考えた。」
障がいのある人に寄り添った服をもっと抽象化して多くの人に寄り添える服ができれば、価格も抑えられ、ファッションを楽しめる人が増えるのではないかと感じました。
システム会社に入社後、主にグループ会社向け基盤システム構築・運用・監視業務及び認証取得業務を担当。
出産を機に退職。
その後、結婚式場など飲食店でのサービス職と工場の事務員で仕事復帰。
工場の倒産後に、ノーティカルをはじめ、工場でお世話になった方々に声をかけていただき、通勤&リモートでトリプルワーク中。
高校1年生と中学1年生の母。子供に振り回される日々を送っている。
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