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【財務】銀行・信用金庫はリスケ(返済猶予)のお願いをどう思うか?

【財務】銀行・信用金庫はリスケ(返済猶予)のお願いをどう思うか?

投稿日 2024.12.19 最終更新日 2024.12.19

売上が伸びない…

原料高や円安で仕入れ額が上がったけど、価格に転嫁できない…

人件費が上がり、利益率を圧迫している…

経費を見直し、削れるものも削っても資金繰りが苦しい。

いつもと同じように銀行や信用金庫が貸してくれなくなった。

 

いよいよ打つ手が無くなった場合、銀行や信用金庫への返済をストップする方法で資金繰りの状況を改善させる方法があります。

ある意味最終手段に近い借入金の条件変更による返済猶予、通称リスケ。

【融資】事業継続の最終手段”借入金のリスケ(条件変更・返済猶予)”とは

ですが、実際にリスケの依頼を行った場合、金融機関はどのように思うのでしょうか?

 

経営・資金繰り改善

金融機関はリスケをどう思うのか?

リスケの相談をすると、金融機関にはどう思われるのか気にされる経営者や財務経理担当者の方も多いと思います。

 

反応は人それぞれですが、

「約束を守らないとはどういうことだ!」

「やりたくない。めんどくさい。仕事増やさないでよ。」

「支店長や本部に何と言われるかな…」

などなど、相手も人間なのでネガティブな感情の人もいるでしょう。

 

一方で

「やっぱりそうだよね」

「まぁ、仕方ないかな」

「その方が御社のためですよね」

といった、あっさりとした反応も多いでしょう。

むしろ、コロナ以降こちらの方がスタンダードかもしれません。

 

普通に考えれば、返してもらえなくなるからネガティブな反応をする。

ここまでは誰でもわかりますが、もう一歩踏み込んで、なぜネガティブな反応をされるのか?なぜあっさりとした反応なのか?

を考えてみます。

 

基本的に担当者が評価されない

まず一つ目の理由として、基本的に担当者が評価されません。

個人レベルの感情の問題もあるでしょう。

リスケの相談を受けると、後ろ向きな仕事に時間を取られることになります。

改善計画書などの資料すら持って来ない会社の場合、稟議を通すために誰かが計画書を作成することに。

誰が書くのかは金融機関によって異なるかもしれませんが、担当者が自ら作成する場合や、担当者が一人で作成できない場合その上司も巻き込みます。

 

今やほとんどの金融機関の人たちは、融資以外の業務のノルマが課されています。

昔にはなかった投資信託や保険の販売などです。

最近では金利が徐々に上がりつつあるとはいえ、それまでは融資による金利収入等では足りませんでした。

そのため、現在では幅広い業務を抱えています。

 

それに加え、人出不足事態もさることながら金融機関自体の人気も落ちたのか、1店舗あたりの営業担当人数も減っています。

当然ながら、一人当たりの業務量は増えてます。

これまでと同じスピードで仕事を進めていると時間が足りません。

さらには残業規制などにより業務時間の上限も厳しく管理されています。

一人が使える時間自体も減っているので、時間でカバーすることもできません。

 

何人もの現役金融機関の人や金融機関OBに尋ねても、リスケに関する計画書などの資料を、企業に変わり作成することに関しては、心底うんざりといった反応でした。

そのような状況の中、担当者レベルで考えれば、自らが評価されないリスケの仕事は全くもって迷惑な話とも言えなくありません。

 

金融機関自体の利益を損ねる

二つ目の理由は金融機関自体の利益を損ねることになります。

かつての金融不安がおきたことを教訓に、金融機関には金融庁からしっかりと監視がされています。

基本となるのは「金融検査マニュアル」と呼ばれるものです。

しかし金融検査マニュアルは2019年12月18日に廃止されました。

しかしながら長年使ってきたシステムでもあり、その他のノウハウを有しているわけではないので、基本的にはしばらく同じやり方を踏襲するものと考えます。

 

その金融検査マニュアルによる監視の指標の一つに、債務者区分による引当金の設定がありました。

引当金とは簡単に言えば、貸付先ごとの潰れる可能性に合わせて、あらかじめ費用として計上するものです。

安全なところと危ないところに応じてあらかじめ手当てをすることで、金融機関の急激な業績悪化などを防ぎ、混乱を回避するためです。

リスケをするということは、その金融機関での債権者区分、言い換えれば企業の格付けが下がることで、それだけ多くの費用を計上しなくてはなりません。

ひいては、金融機関の業績にマイナスのインパクトを与えます。

 

リスケに応じてもらいやすい状況が近年続いていた

とは言え、2020年のコロナ以降、コロナ融資による貸し付けやリスケ(返済猶予)などによる中小企業への金融支援が続いていました。

そのため、ここ数年は非常にリスケに応じてもらいやすい状況だったと言えるでしょう。

またコロナ融資は信用保証協会による100%保証であるため、金融機関にとってはノーリスクと言ってもいい状況です。

そのため、何が何でも業績を上げて返済してもらう必要性も低いとの判断もあるでしょう。

 

一般的な保証協会付き融資であれば80%保証、しかもコロナ融資のような100%保証であれば損失を被る金額はありません。

そのため、業績にマイナスのインパクトを与えるものは、担保余力のないプロパー融資(保証協会のついていない融資)が主となります。

 

自社の存続が最優先

当然ながら自社の存続が最優先です。

いちいち金融機関のご機嫌を伺っているようでは手遅れになってしまいます。

相手も商売として金貸しを行っていますので、必要以上に卑屈になる必要はありません。

 

また、コロナ後に向けた出口を国も探っていますが、中小企業ではまだまだ景気が上向いている実感も少ない状況です。

そのため、経済産業省・金融庁は「今後の中小企業向け資金繰り支援」を2024年6月7日に公表しています。

 

そこには

融資判断に当たっては、それぞれの事業者の現下の決算状況・借入状況や条件変更の有無等のみで機械的・硬直的に判断せず、事業の特性、各種支援施策の実施見込み等も踏まえ、今後の経営改善や事業再生に繋がるよう、丁寧かつ親身に対応すること。返済期間・据置期間が到来する既往債務の条件変更や借換え等について、申込みを断念させるような対応を取らないことは勿論のこと、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応を継続すること。

(出典:コロナ資金繰り支援策の転換を踏まえた事業者支援の徹底等について)

と明示されています。

しかしながら、無条件に応じることを求められていません。

少なくとも協力してもらいやすい環境づくりは、企業側の努力によって作り出す必要があります。

その一つがリスケをお願いするときの資料を、しっかりと企業側で作成することです。

 

さいごに

リスケは交渉事です。

金融機関側の事情も踏まえて交渉をすることは、相手にとっても助かることです。

多くの企業がリスケの資料作成を丸投げしている状況ですので、しっかりとした経営改善計画書などの資料を用意して誠心誠意交渉をするだけでも、心証は良くなります。

また、地域に根差した金融機関であれば、事業再建の手助けを積極的にしてくれるでしょう。

自社の存続が最優先なので、やれることをしっかりと行い、交渉に臨むことが重要です。

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