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【経営】経営改善計画で意識する3つの数値基準

【経営】経営改善計画で意識する3つの数値基準

投稿日 2023.01.10 最終更新日 2024.10.28

経営・資金繰り改善

経営改善計画で意識する3つの数値基準

経営改善計画を作成するにあたり、意識する3つの数値基準があります。

2019年に廃止された金融検査マニュアルの債務者区分要件緩和の計画基準を満たすことが望ましと、かつては言われていたものです。

 

その3つの数値基準は

  • 経常黒字化3年以内
  • 5年(から10年)内に実質債務超過解消
  • 計画終了時(債務超過解消時)に借入金償還年数がおおむね10年

とされていました。

現在では数値基準に対しては絶対視されてはないものの、かつての基準は参考にしていると考えるのがいいと思います。

一方で、3年以内、10年以内といった部分はコロナの影響もあり弾力的な運用になっている印象です。

 

なぜこのような数値基準が示されていたのかの理由は、債権者区分とは何なのかを理解する必要があります。

 

債務者区分とは

債務者区分とは、銀行や信用金庫が融資先企業ごとにつけている区分で、財務状況や収益力、返済能力により決められます。

金融庁の金融検査マニュアル(2019年12月に廃止)に基づき債務者区分を決めます。

また、金融機関独自の信用格付けを融資先企業につけています。

 

基本的に債務者区分は、次の5つに分類されます。

  • 正常先
  • 要注意先(その他要注意先・要管理先)
  • 破綻懸念先
  • 実質破綻先
  • 破綻先

特に中小企業は、財務状況のみならず、技術力・販売力・成長性や代表者などの役員に対する支払い状況、代表者の資産状況を勘案し、経営の実態を踏まえて判断するとされています。

また、経営者の資質も考慮される点がポイントです。

債務者区分は各金融機関により、段階も異なり、同じ企業でも金融機関により区分が異なったりします。

 

現在では経営者保証をとらない方針となっていますが、いざとなったら経営者の資産状況も依然勘案されるでしょう。

 

債務者区分一覧表

債務者区分 開示 引当率
正常先 正常債権 0.23%
要注意先 要管理先除く 6.53%
要管理先 不良債権 56.75%
破綻懸念先 77.14%
実質破綻先 100%
破綻先 100%

※引当率は平成23年三井住友銀行開示資料を参照

 

債務者区分の定義

正常先

業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段問題がない債務者

 

要注意先

要注意先とは、金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある債務者、元本返済若しくは利息支払いが事実上延滞しているなど履行状況に問題がある債務者のほか、業況が低調ないしは不安定な債務者又は財務内容に問題がある債務者など今後の管理に注意を要する債務者

 

要注意先のうち、要管理先

当該債務者の債権の全部又は一部が要管理債権(3カ月以上延滞または貸し出し条件を緩和している債権)である債務者

 

破綻懸念先

現状、経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者

 

実質破綻先

法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められるなど実質的に経営破綻に陥っている債務者

 

破綻先

法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者をいい、例えば、破産、清算、会社整理、会社更生、民事再生、手形交換所の取引停止処分等の事由により経営破綻に陥っている債務者

(参照:金融庁開示資料

 

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資産の分類とは

債務者のリスクに応じて、債務者区分を行った後、金融機関が有している担保・保証を回収可能性に応じて分類します。

資産の分類とは、担保・保証を回収可能性に応じて分類することです。

 

Ⅰ分類(非分類)

回収の危険性または価値の毀損の危険性に問題がない資産

 

Ⅱ分類

回収について通常の度合いを超える危険を含むと認められる債権等の資産

 

Ⅲ分類

最終的な回収可能性または価値について重大な懸念があり、損失の発生の可能性が高い資産

 

Ⅳ分類

回収不能または無価値と判定される資産

(参照:三井住友銀行開示資料

 

3つの数値基準

金融機関の合意を得るために抑えておく3つの数値基準は

  • 経常黒字化3年以内
  • 5年(から10年)内に実質債務超過解消
  • 計画終了時(債務超過解消時)に借入金償還年数がおおむね10年

となります。

これらの基準は絶対的なものではありませんが、金融機関は目安にしています。

金融機関ごとに違いはあると思いますが、基本的には上記の数値を参考にしてください。

 

ちなみに金融機関にリスケを丸投げで依頼されると、上記に当てはまるように数字を合わせてきます。

それが実現できるかどうかは別として、経費削減策を中心に作成されてしまいます。

 

経常黒字化3年以内

リスケの依頼を行う時点で経常利益がマイナスの場合、経営改善計画では3年以内に経常利益をプラスにする必要があります。

 

5年(から10年)内に実質債務超過解消

リスケの依頼を行う時点で実質的に債務超過の場合、基本は5年以内に実質的な債務超過を解消する必要があります。

中小企業の場合は10年でも認めてもらえる場合もあります。

実質的というのは、実態に即したバランスシート(貸借対照表)を基にした上でのこととなります。粉飾や実態とずれた計上をしているバランスシート(貸借対照表)を正しく直した後という意味です。

 

計画終了時(債務超過解消時)に借入金償還年数がおおむね10年

債務超過が解消された時点で、要償還債務を毎年計上できるキャッシュフローで割った場合におおむね10年以下となる必要があります。

要償還債務とは、金融機関に返済する有利子負債から正常運転資金、現預金、換金性ある資産(有価証券など)を差し引いた額になります。

おおむね10年なので、金融機関によってはもう少し緩く見てもらえる場合もあります。

コロナではおおむね15年程度は許容範囲となっていた金融機関もありました。

 

数値の根拠となっている2つの計画

この意識すべき3つの計画の根拠は、金融検査マニュアルにおける「実抜計画」「合実計画」と呼ばれる2つの計画が基となっています。

「実抜計画」「合実計画」を作成すると、債権者区分を引き上げてみなせる要件になっています。

 

実抜計画

  • 現可能性の高い本的な経営再建計画
  • 貸出要件緩和債権の卒業基準
  • 要管理先→その他要注意先

 

合実計画

  • 理的かつ現可能性の高い計画
  • 破綻懸念先→要注意先(要管理含む)

 

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まとめ

経営改善計画で必ず意識すべき3つの数値基準があり、それは「経常黒字化3年以内」「5年(から10年)内に実質債務超過解消」「計画終了時(債務超過解消時)に借入金償還年数がおおむね10年」です。

数字に縛られ過ぎる必要はありませんが、金融機関はこの数字を基準としています。

数字ありきで計画を作ると、ほとんどがうまくいきません。

あくまでも、窮境原因の除去策から導き出された施策をベースにしてください。

その後実際に数値計画を作成した時に、この条件におおよそ当てはまっているのかを確認しましょう。

 

最近は金融機関も「右肩上がりの計画書は信じない」などと言ってくることもあります。

経営改善計画となると、どうしても売り上げを伸ばす必要性に迫られますが、経営改善計画書作成には金融機関の支店長、上席、担当と相談しながら進めることが結局はベターかと思います。

金融機関の支店長、上席、担当は審査本部に稟議を通してもらう仲間として動いてもらった方がいいです。

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