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資金繰り改善は「時間を作ること」から始めよう──中小企業支援の現場から
中小企業の経営相談で最も多いテーマのひとつが「資金繰り」です。
売上も利益も出ているのに、お金が足りない。
あるいは、返済や支払いに追われて余裕がない。
そんなとき、すぐに「売上を伸ばしましょう」「コストを削減しましょう」といった改善策が思い浮かぶかもしれません。
しかし、実際の現場では、それだけでは間に合わないケースが多くあります。
資金繰り改善の第一歩は「時間を作ること」
中小企業の現場で、経営改善の相談を受けていると、よく出てくるのは資金繰りの問題です。
「資金をどう回すか」──これが、まず最初に立ちはだかります。
利益を出すには、売上を伸ばすか、支出を抑えるか。
ですが、売上アップにはどうしても時間がかかるもの。
支出の抑制はある程度すぐにできますが、限界もあります。
つまり、中小企業にとって最も貴重なのは、“時間”そのものなのです。
私の支援の本質は、この「時間を作る」ことにあります。
具体的には、以下のような支援を行います。
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金融機関と調整し、融資で当面の資金を確保する
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返済条件を見直し、返済額を減らす・先延ばしする
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支払いの優先順位を整理し、資金の流れをコントロールする
これらは一見「時間稼ぎ」に見えるかもしれません。
ですが、この“稼いだ時間”があるからこそ、会社が持ちこたえ、改善の取り組みに着手できるのです。
時間を作ることで広がる選択肢
時間が確保できると、会社には次のような余裕が生まれます。
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改善策をじっくり検討できる
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仕組みや業務フローを整える時間が持てる
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売上を伸ばす施策に取り組む余地ができる
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社内での合意形成や意識づけを進められる
お金がない、人が足りない、情報も少ない──。
そんな「限られた資源」の中で、残された資源が「時間」であることも少なくありません。
そしてその間に、下記のようなことに取り組んだ事例があります
事業転換にチャレンジできる時間を確保
新しい事業を模索するためには、調査や試行錯誤に時間が必要です。
融資や返済猶予によって得た時間を投資し、事業転換に取り組めた会社があります。
製造業で営業強化と販路開拓の時間を確保
資金繰りに追われる日々を少し落ち着けたことで、営業に注力する余裕が生まれました。
結果、既存取引先と組んで新商品開発に挑戦することができました。
採用による製造力強化
「採用は贅沢」と思いがちですが、時間を確保して計画的に人材を採用することで、結果的に生産力が安定し、売上増加につながりました。
経営課題に対する事業戦略を実施
一時的に資金繰りの余裕をつくり、その時間で経営課題に向き合う戦略を策定。
腰を据えて取り組める環境が整いました。
経営者に精神的ゆとりができ、前向きに活動
「今月は乗り切れる」という安心感ができただけで、経営者が前向きに動けるようになり、社員の空気も変わったケースがあります。
よくある誤解:「時間稼ぎ=延命で意味がない」
「時間を稼ぐなんて、ただの延命では?」と言われることがあります。ですが、それは半分正しく、半分間違いです。なぜなら、次のようなケースでは本当に意味がなくなってしまうからです。
借入だけして、何も変えない
資金を調達したのに経営の仕組みを見直さず、結局また数か月後に同じ状況に陥る。
支払いを先延ばしするだけ
税金や社保の支払いを後回しにするが、積み残しが増えてかえって負担が重くなる。
「そのうち景気が戻る」と期待してしまう
本来は販路開拓や改善に取り組むべき時間を活かせず、結局変わらないまま時間切れになる。
「時間を活かす」ことが経営改善の本質
つまり、時間稼ぎが「延命」で終わるのか、「未来への投資」になるのかは、稼いだ時間を何に使うかで決まります。
私の支援の目的は、単なる延命ではありません。
融資や返済調整でつくった時間を、事業転換や営業強化、人材確保などに充てることで、未来につながる力を育てる。
そのサポートをすることが、私の役割だと考えています。
中小企業にとって最後に残された資源は「時間」。 その時間をどう活かすか──そこに、経営改善の本質があります。
中小企業支援の本質は「時間をどう作るか」
中小企業支援というと「売上アップのアドバイス」と思われがちです。
もちろん売上を伸ばすことは大切ですが、それ以前に「会社が動き続けるための時間を作る」ことこそが、改善の入り口になります。
資金繰り改善の支援は、単なる延命策ではありません。
未来につながる改善の余地をつくるための、経営の土台づくりです。
まとめ
資金繰りに悩む中小企業にとって、最初に必要なのは「時間を作ること」。
その時間が、改善策を検討し、仕組みを整え、売上を伸ばす土台を築く余裕を与えてくれます。
経営改善の第一歩は「時間を作る支援」から。
中小企業の現場で支援を続ける中で、私はその重要性を強く実感しています。

中小企業診断士/ファイナンシャルプランニング技能士2級/全経簿記上級
神戸市出身
中小企業3社(食品製造・アパレル)で約20年間財務経理部門を担当。2017年に中小企業診断士として独立。2020年株式会社ノーティカル設立。
事業計画・資金計画の立案から金融機関折衝や資金調達、計画実行支援を中心に、経営改善や新規事業支援を行う。
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