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【分析】障がいや病気などでも快適に着られるよう工夫されたアパレルブランド 2025年版 後編

投稿日 2025.03.13 最終更新日 2025.03.13
前回の記事では、日本国内のアパレルブランドを紹介しました。
前編はこちら
【新事業開発支援】機能性とファッション性を合わせ持つ「誰もが選べる洋服」ド「YEW BERRY(イエローベリー)」<開発編>
障がいや病気、加齢による体の不調などで市販の服が着にくいと感じる方々にも、快適に着られるアイテムを展開するブランドが増えており、日本では「誰でも着られること」を重視したインクルーシブファッションが主流になっていることがわかりました。
一方で、海外では「個々のニーズに応じた機能性」を追求する傾向があり、アダプティブウェア(AdaptiveWear)という分野が発展しています。
障がいの種類ごとに特化したアイテムが豊富で、着脱のしやすさはもちろん、義肢や医療機器との相性を考慮したデザインも特徴の一つです。
今回は、アメリカ・ヨーロッパなどのブランドに焦点を当て、どのような視点で服作りがされているのかを見ていきます。
日本との違いやアダプティブウェアの最新の動きにも注目しながら、2025年の最新情報をお届け!
2023年版で紹介していないブランドを紹介しますので、2023年版が気になる方はぜひご一読ください。
【分析】障がいのある方向けのアパレルブランド
参考にしていただくにあたっての注意点
・リンク先のサイトは基本的に英語表記となっています。GoogleChromeやSafariなどの翻訳機能をご活用いただくのがおすすめです。
・海外発送の可否について記載しますが、執筆時点での情報をもとにしています。実際の取引の際には、必ずご自身で最新情報をご確認ください。
・海外サイトとの取引に関する責任は負いかねますので、あらかじめご了承ください。
・価格およびレートは記事執筆時点(2025年3月25日)のものです。最新の情報は各ブランドの公式サイトをご確認ください。
障がいや病気などでも快適に着られるよう工夫されたアパレルブランド(海外編)
Marks&Spencer(イギリス)
公式サイト
https://www.marksandspencer.com/
サイトの利用について
・右上のイギリス国旗をクリックすると国の切り替えが可能。
・日本を選ぶと日本円で表示されます。
※サイト表示は英語のままなので翻訳機能推奨。
【概要】
Marks&Spencer(マークス&スペンサー)は、イギリスを代表するプライベートブランドを展開する小売チェーンです。
食品、衣料品、生活雑貨を幅広く取り扱い、品質の高さと手頃な価格が特徴。
特にオーガニック食品や自社ブランドの衣料品が人気で、女性用下着や新生児〜16歳向けのアダプティブウェアを展開しています。
【アダプティブ商品について】
※サイト内の検索窓で「Kid’sEasyDressing」や「Adaptive」、または「Stoma」と検索してください。
・ストーマ患者向け下着(女性用)
・新生児〜16歳向けのアダプティブウェア(肌着・スクールウェア等)
【主な商品の価格】
ストーマ患者向け下着(女性用3枚組):4,800円〜5,300円
スクールシャツ(半袖):2,400円〜4,700円
ボディスーツ(ロンパース型肌着)3枚組:4,300円〜4,800円
【海外発送について】
海外発送可
・画面左の国旗マークで国を切り替えると、その国向けの配達情報が表示される仕様。
・日本国旗を選ぶと、日本向けの配送オプションに変わる。
・8,000円以上の購入で送料割引あり。(詳細は公式サイトで確認)
【コメント】
Marks&Spencerは、日本で言うとイオン(イオントップバリュー)や無印良品といった感じでしょうか。
プライベートブランドで食品や衣料品など多くのジャンルを出しており、店舗もたくさんあるそうです。
ものすごくニッチな商品ですが、ストーマをつけている女性用のショーツと、新生児〜16歳までの配慮された洋服が展開されています。
洋服といっても品揃えがニッチで、大きく分けてスクールウェア、肌着、パジャマの3種類。
洋服にどのような配慮がほどこされているのか非常にわかりにくいのが難点ですが、配慮ありとなしの洋服でほぼ値段の差がないことに驚きました。
シャツのボタンの代わりにマジックテープ、スクールパンツはウエストにゴムを入れてジッパーの開け閉めをしなくても良い仕様になっていると思われます。(説明文と写真を凝視した結果)
口コミも豊富なので、翻訳して読むと参考になると思います。
Primark(アイルランド)
公式サイト
【概要】
アイルランド生まれの大手ファストファッションブランド「プライマーク」は、2025年1月に障害者向けの49点からなるアダプティブウェアコレクションを発表しました。
このコレクションは、磁気ジッパーや隠れた医療機器へのアクセスポイント、座位の方に適したクロップドデザインなど、多様なニーズに対応する工夫が施されています。価格は5ポンド(約950円)からと非常に手頃で、Tシャツ、ジーンズ、カーゴパンツ、ドレスなど、ファッション性と機能性を兼ね備えた多彩なアイテムを展開しています。
【アダプティブ商品について】
※サイト内の検索窓で「Adaptive」と検索してください。
・成人向け(男女)
・様々なニーズに対応したハイストリートファッション
・現在は49種を展開。
【主な商品の価格】(1£=¥189.2換算)
・レギンス:8ポンド(1,514円)
・デニムジーンズ:20ポンド(3,785円)
・カーゴパンツ:22ポンド(4,163円)
・トレンチコート:30ポンド(5,677円)
(アダプティブではない服と同価格帯)
【海外発送について】
欧米のみ。日本への発送はありません。
【コメント】
プライマークはイギリスを中心に欧米で人気のファストファッションブランドです。
GUやH&Mと同じような価格帯で、トレンドアイテムを豊富に展開しています。
以前、私は障がいのある方や介助する方を取り巻くアパレル環境というブログをアップしました。
記事はこちら
その時に「こういう服があればいいのに」と思っていたアパレルがここにあった!という感覚です。デザインも格好良く、さまざまな工夫が施されているので、ぜひ一度チェックしてみてください。
日本への発送がないのが残念でなりません。
Victoria’sSecret(アメリカ)
日本語版公式サイト
https://ja.victoriassecret.com/jp/
※日本円表示
【概要】
アメリカで女性用の下着や水着を中心としたアパレル展開を行なっているVictoria’sSecretもアダプティブな女性下着を販売しています。
Victoria’sSecretらしい華やかなデザインを保ちつつ、ブラやショーツにマグネット開閉機能を搭載。
特に、マグネットで簡単に着脱できる「フロントクローズブラ」や「アダプティブビキニショーツ」は、デザイン性と機能性を兼ね備えたアイテムです。
【主な商品の価格】(記事執筆時点、日本円表示)
※サイト内の検索窓で「Adaptive」と検索してください。
フロントクローズブラ:6,606円〜9,824円
アダプティブ ビキニショーツ:3,030円(よりどり3点で6,792円)
【海外発送について】
海外発送あり。日本への発送もOKです!
・送料:2,000円
・15,000円以上の購入で送料無料
【コメント】
マグネットで開閉するブラ&ショーツは初めて見ました。
しかも、レース使いやさくらんぼ柄など、おしゃれなデザインで、機能性を取り入れながらも「Victoria’sSecretらしさ」をしっかり感じられます。
ブラとショーツ両方ともマグネット開閉式でお揃いにできるのも魅力的。
また、マグネットではありませんが、フロントホックのブラも背中のデザインが豊富で、ストラップが絶対にずり落ちない仕様など、機能性に優れたアイテムが揃っています。
サイト内にはサイズ測定の動画もあり、気になる方は参考にしてみてください。
(ただし、単位はセンチではなくインチ表記なので、計算が少し大変かもしれません…)
アンスロポロジー(Anthropologie)
日本語版公式サイト
https://jp.anthropologie.com/ja-jp/
※日本円表示
【概要】
アンスロポロジーは、アメリカ発の大人の女性向けライフスタイル&ファッションブランドです。ボヘミアン&ヴィンテージ調の洗練されたデザインが特徴で、1992年に創業し、ファッション、インテリア、ビューティーアイテムを展開。サステナブルな商品開発にも力を入れています。
2024年6月5日、障がい者の生活やニーズに対応するアダプティブコレクションを発表。
既存のベストセラー8点をアレンジしたもので、URBNAdaptEmployeeResourceGroupによる社内発のアイデアから生まれました。
インフルエンサーや障がい者コミュニティと協力し、ファッション性と機能性を両立したデザインを採用しています。
【主な商品の価格】
シャツ:16,400円
ベルクロブラ:8,200円
【海外発送について】
海外発送あり。日本への発送も可能。
こちらも15,000円以上の購入で送料が無料になります。
【コメント】
他のアダプティブウェアブランドは、サイト内検索で「Adaptive」と入力すると機能性が明確な服が出てきますが、アンスロポロジーの場合は「どこが適応されているのか分かりにくい服が多い」という印象でした。
おそらく、ニット素材で伸縮性があることで着やすくなっている、またはモデルが多様な体型の方々で構成されているなど、Adaptiveウェアのさらに先を目指しているのかもしれません。
Able2Wear(イギリス)
公式サイト
【概要】
Able2Wearは、イギリスのアダプティブウェア専門ブランドで、主に車椅子ユーザーや身体に障がいのある方向けの衣類を展開しています。
公式サイトには「私たちはファッションの会社ではありません。日常の問題を解決するためにデザインされた幅広いアクセサリーも提供しています」との記載があり、動きやすさと着脱のしやすさを重視した実用的なアイテムを提供。
シャツやフォーマルパンツのほか、むくみ対策や糖尿病用のソックスなども販売しています。
【アダプティブ商品について】
・中高年の男性が向けが多い
・車椅子ウェア
・アダプティブウェア(着脱しやすい服)
【主な商品の価格】(1£=¥189.2計算)
パンツ:52ポンド〜78ポンド(9,836円〜14,754円)
シャツ:48ポンド〜54ポンド(9,079円〜10,214円)
【海外発送について】
海外発送可。
Asia向けの配送料も記載されており、日本からの購入も可能なようです。
※「CUSTOMERSERVICE」→「Delivery&Returns」のページに「Weofferworldwidedeliveryoptions,pleaseseebelow.(世界中の配送オプションを提供していますので、以下をご覧ください。)」と記載あり。
まとめ
今回の記事では、海外のアダプティブウェアと日本のインクルーシブファッションを比較しながら、世界のアパレル業界がどのように多様なニーズに応えているのかを見てきました。
日本では「誰でも着られる」というユニバーサルデザインの考え方がベースになっており、既存のファッションに「配慮」を加える形での展開が目立ちます。
一方、海外では「個々のニーズに特化した」アダプティブウェアが発展しており、車椅子ユーザーや義肢装着者、ストーマ利用者など、それぞれの生活スタイルに寄り添った機能性を重視するブランドが多いのが特徴です。
記事を書き始めたときは、海外の方が圧倒的に進んでいるのかと思っていましたが、実際に調べてみると、日本と同じように各ブランドが試行錯誤しながら現在進行形で取り組んでいることが分かりました。
また、特定の障がいに対応したアダプティブウェアだけでなく、素材やデザインで着やすさを追求するブランドもあり、日本のインクルーシブファッションと通じる部分が多いと感じています。
どのブランドも、「誰かのための特別な服」ばかりでなく、誰もが自然に選べる服を目指している点が共通しており、今後ますますその流れが強まっていくのではないでしょうか。
重要なのは、より多くの人が「自分に合った服」を自由に選び、快適に過ごせる社会を目指すこと。
今後も、アパレル業界の新しい動向を追いながら、誰もがファッションを楽しめる選択肢が増えていくことを願っています。

システム会社に入社後、主にグループ会社向け基盤システム構築・運用・監視業務及び認証取得業務を担当。
出産を機に退職。
その後、結婚式場など飲食店でのサービス職と工場の事務員で仕事復帰。
工場の倒産後に、ノーティカルをはじめ、工場でお世話になった方々に声をかけていただき、通勤&リモートでトリプルワーク中。
高校1年生と中学1年生の母。子供に振り回される日々を送っている。
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