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【まとめ】小さな会社の苦しい資金繰り改善方法
投稿日 2024.12.06 最終更新日 2024.12.06
毎月の支払いが近づくたびに、銀行残高を確認して冷や汗をかいていませんか?
売上が順調に上がっているにもかかわらず、なぜか現金が足りない…。
こうした資金繰りの問題に悩む経営者は、意外と多いのではないでしょうか。
小さな会社を経営する方や、日々の資金繰りを管理する経理担当者なら、一度は直面する課題です。
最近は、ゼロゼロ融資の返済も本格化してきており、資金繰りに悩む会社が増えてきている印象です。
資金繰りの問題は、単なる「お金が足りない」だけでは済みません。
仕入れ先への支払いが遅れることで信用を失い、従業員の給与が遅配になると士気が下がります。
それが続けば、事業の存続そのものが危機に陥る可能性もるでしょう。
今回は、すぐに実践できる具体的な対策をご紹介します。
まずは、よくあるキャッシュフローの問題点を整理しながら解決の糸口を探りましょう。
資金繰りの現状を把握する
資金繰りの問題を解決する第一歩は、自社のお金の流れを把握すること。
困っているときにすることは、まず状況の確認から始めます。
意外と多くの資金繰りに困っている経営者が、感覚的に「なんとなく足りない」と感じているだけで、具体的な数字を把握できていません。
しかし、資金繰りの現状を明確にすることで、見えてくるものがあります。
そこから、問題の原因や改善点を探ります。
資金繰り表の作成
まず取り組むべきは、資金繰り表の作成です。
これは、一定期間(1か月や1週間)の「入金」と「出金」を通帳などから拾うだけで作成できます。
大きな項目は、入金と出金の二つ。
入金は売上の入金や借入など。
出金には仕入れ代金、家賃、給与、借入金の返済などが含まれます。
入金と出金を、事業活動による出入りと、借入による出入りに分けるとなおわかりやすくなります。
4つの資金繰り改善策
資金繰りの悩みを解決するには、資金の流れをコントロールするかがポイントです。
資金繰りの改善には、増やす・減らす・早める・遅らせるという4つの視点で考えます。
シンプルな考え方ですが、結局はこの4つしかありません。
- 増やす:収入を増やす方法を見つける。新規顧客の獲得や、既存顧客からの追加注文がここに該当します。
- 減らす:支出を削減する。無駄なコストや優先順位の低い経費を見直します。
- 早める:売上金の回収を早める。請求書の発行や支払条件の見直しがカギとなります。
- 遅らせる:支払いを先送りする。仕入れ先や取引先との支払条件を再交渉する方法があります。
この4つの切り口を組み合わせることで、短期的な資金繰りの改善から長期的なキャッシュフローの安定化まで幅広く対応することが可能です。
①支出の見直し
資金繰り改善のために、まずは支出の見直しから始めます。
支出は、固定費と変動費を分けて把握すると、改善のポイントが見つけやすいでしょう。
固定費(家賃や人件費)は毎月必ず発生するため、削減できると資金繰り改善効果が高まります。
変動費の圧縮ができれば、利益率の改善にダイレクトにつながります。
資金繰り改善には、支出の削減が避けられません。
そのポイントは、いったん偏見を持たずに一から見直すこと。
しがらみを考えてると、なかなか先に進みません。
②収入を増やす
売上が増えれば、キャッシュフローに余裕が生まれ、他の改善策に取り組むための基盤が整います。
が、収入を増やす、すなわち売上を増やすことはなかなか簡単にいきません。
実際には相当の努力が必要となりますが、資金繰り改善、経営改善には避けられないプロセスでもあります。
ここでは、「収入を増やす」方法を3つご紹介します。
1. 既存顧客へのアプローチを強化する
新規顧客の獲得よりも、既存顧客からの追加注文やリピート注文を増やす方がコストを抑えつつ効果的です。
追加注文の提案:購入履歴に基づき、関連商品やサービスを提案。例えば飲食店なら、ランチ利用のお客様にディナーの割引券を提供するなど。
リピートを促す仕組み:ポイントカードや定期購入の割引を導入し、リピート率を上げます。
既存顧客はすでに信頼関係が構築されているため、ゼロからの新規開拓よりは期待が持てます。
新規顧客開拓に目が行きがちですが、まず取り組むのは既存顧客へのアプローチです。
2. 新規顧客をターゲットにした営業強化
新たな顧客を獲得することで、安定した収入源を増やすことができます。
地域や市場を広げる:オンライン広告やSNSを活用し、これまでアプローチできていなかった層に情報を届けます。例えば、地域限定のサービスを提供している場合、オンライン予約や配送対応を追加するなど。
キャンペーンの活用:期間限定の割引や特典付きキャンペーンを実施して、初めての利用を促します。
既存顧客に販売拡大余地がない場合、新規顧客にアプローチすることは避けられません。
3. 収益性の高い商品やサービスに注力する
すべての商品・サービスが均等に利益を生むわけではありません。そのため、収益性の高いものに注力することで効率的に収入を増やせます。
商品やサービスの見直し:利益率が高い商品や売上が安定しているサービスにリソースを集中させます。例えば、利益率の低い商品を削減し、売れ筋商品に広告費を集中させるなど。
プレミアム商品を追加:既存の商品やサービスに高付加価値のオプションを加え、単価アップを目指します。例えば、基本プランの上位にVIPプランを設定するなど。
収入を増やすことは、資金繰り改善の基盤を作るカギとも言えます。
既存顧客、新規顧客、商品・サービスの見直しという3つの視点から取り組むことで、施策を検討しやすくなります。
収益を上げる、営業活動をする最大のポイントはまず動くこと。
動けば色々な情報が集まり蓄積されますので、さらに改善策を考えやすくなります。
③入金を早くする
資金繰りを改善するうえで、入金を早めることは効果的です。
根本的な解決とは言いませんが、必要運転資金が少なくなりますので、これまでより効率的にお金を使えます。
ここでは、「入金を早める」具体的な方法を3つご紹介します。
1. 請求書の発行と支払期日の見直し
請求書の発行が遅れると、その分だけ入金が遅くなります。
そのため、極端に言えば即日発行のルールを導入することで、入金のサイクルは早くなります。
通常の締め支払いの場合は、支払期日を短縮することです。
通常の60日払いを30日払いにしてもらうことで、1か月分の資金が効果的に使えます。
仮に毎月300万円の売り上げで2か月後支払いの場合、600万円が寝ていることに。
これを30日に短縮することで、300万円の運転資金が必要なくなります。
その分資金繰りが楽になります。
支払いサイトの短縮はなかなか言いにくいかもしれませんが、意外とすんなり受け入れられる場合もあるなど、交渉の余地はあります。
2. 前払い・分割払いの提案
入金を早めるためには、取引条件そのものを見直すのも有効です。
そのため、前払いを受けることができないか検討してみましょう。
新規顧客や継続的な取引先には、前払いを条件とする契約を提案します。
初回だけでも前払いにできれば、キャッシュフローに余裕が生まれます。
建設業などの場合、入金までの期間が長くなりがちです。
特に工事の遅れで支払いが遅れることなど、結構あるのではないでしょうか?
そのため、着手金として前払いを受ける。
進行基準に合わせて入金してもらう契約にするなどが考えられます。
また、大口取引の場合など、一括払いよりも分割払いを選択してもらうと、早い段階で一部の入金を確保できます。
3. 割引やインセンティブで早期入金を促す
取引先に早めの支払いを促すための仕組みを作ることも効果的です。
例えば、早期支払い割引を提供するなど、「請求書発行から10日以内に支払うと、5%割引」という条件を設定することで、取引先に早期支払いを促します。
安易に割り引くと利益率を圧迫しますが、元々の提示額を高めに設定することができれば、利益率を圧迫せずに済むかもしれません。
他には、インセンティブを活用し、継続的に早期入金を行う顧客に対し、次回注文時の特典を提供するなど、メリットを感じてもらう仕組みを作ります。
入金を早めることは、特別な投資をせずに資金繰りを改善できる効果的な方法です。
請求書の発行タイミングや取引条件を見直すだけで、大きな変化が期待できます。
早期入金が習慣化すれば、事業の安定性が増すでしょう。
④支払いを遅らせる
資金繰りを改善する方法の一つに、支払いを遅らせるという手段があります。
支払いのタイミングを調整することで、手元資金をより多く保つことができます。
ただし、下手をすると信用を損うデメリットも。
そのため、慎重に進める必要があります。
ここでは、「支払いを遅らせる」ための具体的な方法を3つご紹介します。
1. 取引先と支払条件を再交渉する
取引先に直接相談し、支払い条件を緩和してもらう方法です。
まずは支払期日の延長を依頼する方法です。
現在の支払条件が30日払いの場合、45日払い、60日払いへの変更を交渉します。
信頼関係が築かれている取引先なら、柔軟に対応してもらえる場合があります。
信頼関係が築かれていないと、逆効果になりかねませんので、かなり注意が必要です。
仕入れ先から売ってもらえなくなるのは、経営改善を図るうえで致命傷になりかねません。
一度に大きな金額を支払う代わりに、数回に分けて支払う分割払いの提案の方がまだ受け入れてくれる余地はあるでしょう。
2. 支払いタイミングを最適化する
支払いタイミングを調整するだけでも、キャッシュフローに影響を与えます。
支払日を統一することで、キャッシュフローの管理がしやすくなります。
なるべく支払い日は、項目ごとにまとめていった方がいいでしょう。
また、10日、20日と区切りのいい良い日に支払う約束をするのではなく、事前に数日ずらすことで入金確認後の対応がやりやすくなります。
3. 利用できる猶予を活用する
公共機関や金融機関の支払を猶予する方法です。
金融機関の支払いを猶予してもらうのは、一般的にリスケと呼びます。
返済がストップするので、かなり資金繰りが楽になるでしょう。
一方でリスケをすると、新規の調達がかなり困難(基本的には無理)となります。
また、税金や社会保険料には、納付が困難な場合に利用できる延納制度があります。
申請すれば、一定期間支払いを遅らせることが可能です。
しかし、社会保険や税金は何も言わずに支払いが滞っていると、督促状が届き、それも無視していると差し押さえの予告が送られてきます。
そして、差し押さえ予告も無視していると最終的に差し押さえとなります。
差し押さえられる資産は、銀行の預金口座など。
メイン口座を差し押さえられると、その時点で事業の継続はたちまち困難になるので注意が必要です。
支払いを遅らせることは、手元資金を確保する有効な手段ですが、信用を損なわないように行うことが大切です。
取引先との関係性を大切にしながら、無理のない範囲で支払いスケジュールを見直しましょう。
資金繰りの予測
資金繰り表を作成し、予測しておくことで資金繰り対策を打ちやすくできます。
そのため、そもそも資金繰り予測ができていない会社は資金繰りが厳しくなりやすい環境と言えます。
資金繰りの現状を「数字」として正確に把握することは、経営改善の土台です。
手間に感じるかもしれませんが、ここにしっかり時間をかけることで、資金繰りが改善される土台ができます。
中小企業診断士/ファイナンシャルプランニング技能士2級/全経簿記上級
神戸市出身
中小企業3社(食品製造・アパレル)で約20年間財務経理部門を担当。2017年に中小企業診断士として独立。2020年株式会社ノーティカル設立。
事業計画・資金計画の立案から金融機関折衝や資金調達、計画実行支援を中心に、経営改善や新規事業支援を行う。
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