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トライやるウィーク 中学生と一緒に会社訪問

トライやるウィーク 中学生と一緒に会社訪問

投稿日 2023.12.15 最終更新日 2024.10.28

猛暑の今年の7月、当社のInstagramのDMにメッセージが来ました。

当社Instagramはこちら

 

文面は

『神戸市立○○中学校のNです。兵庫県の学校で実施される「トライやるウィーク(職場体験)」で、業務見学をお願いできませんでしょうか?』

 

ん?何ごと?

 

今年の春から当社でもInstagramを始めてみましたが、DMが届いたのは初めてのこと。

そしてその内容が、中学生からの「トライやるウィーク(職場体験)」受け入れのお願いでした。

 

 

 

経営・資金繰り改善

「トライやるウィーク(職場体験)」ってなんだ?

私も神戸市立の中学校出身ですが、30年以上前の当時は「トライやるウィーク」はありませんでした。

それもそのはず、実施が開始されたのは1998年。

1995年の阪神淡路大震災、1997年の神戸連続児童殺傷事件を受け、「心の教育の在り方」という課題について検討した結果、子どもたちに自分で考え、学び、成長する機会を与える教育が重要とのことで職場体験が始まりました。

兵庫県教育委員会HP「地域にまなぶトライやる・ウィーク」

トライやるウィークとは

トライやるウィークとは、兵庫県で実施されている中学2年生の職場体験、福祉体験、勤労生産活動など5日間にわたる地域での様々な活動体験のことです。

 

びっくりするやら、いたずらなんじゃないだろうかと色々と考えました。

が、こんな機会もそうそうないだろうし、なんか面白そうです。

また、トライやるウィークができたきっかけが、私も体験した阪神淡路大震災、通学していた高校のごく近くで発生した痛ましい事件。

せっかくなので、Instagram運営を担当してもらっているスタッフSiさんに前向きに検討したい旨を伝えて、DMの返事をお願いしました。

 

とは言え、当社のような会社で受け入れが可能なのか?そもそも実現可能なのかどうか?といった、いざ受け入れた場合のことが全く見当もつきませんでした。

そのため、まずは学校の先生と話をさせてほしいとお願いをすることからはじめました。

 

受け入れ先確保に苦労をされていた先生

ほどなくして、学校の先生から連絡がありました。

色々とトライやるウィークの趣旨や、現状などお聞きすることができました。

トライやるウィークの実施当初は、基本、生徒が受け入れ先を探していたが近年では学校が探していることがほとんどのこと。

SNSの発達などで発生するトラブルに関する懸念、企業の負担などから、受け入れ先は減っているとのこと。

そのため、受け入れ企業の確保に大変苦労されていること。

 

トライやるウィークの趣旨は大変良いものだと思うのですが、なかなか難しいようです。

 

そのほかにも受け入れには、朝から夕方まで必ず受け入れなくても大丈夫なこと、急な仕事で対応できなくなっても構わないこと、実施内容には特に制約があるわけではない、などお聞きすることができました。

 

クラスに1人くらいしか自分で受け入れ先を探さないなか、当社に連絡をしてきてくれたN君の意気込みと勇気を買い、受け入れることとしました。

 

夏休み中に一度、連絡をくれたN君が当社の事務所に書類を持って訪問することになったのですが、こちらの方がどんな子かなとドキドキしてました。

思春期の男の子の扱いなんて全然わかりません。

 

経営に興味があるようなので応募したことなどを聞き、また、中小企業診断士のことも知っているようで、中学生なのに大したもんだなぁと感心しきりです。

 

経営者の方などにお願い

あまり適当にして仕事をすることに対して失望させるわけにもいきませんので、どのように体験をしてもらおうかと悩みました。

 

簡単すぎても仕方ないし、難しいことをしてもらうのもなかなか大変だし。

 

経営に興味があり、中小企業診断士のことも知っているのであれば、色々な中小企業を見てもらうのが一番いいかなと思い、トライやるウィークの話を面白がってくれそうな経営者の方などに訪問させていただいても良いか尋ねました。

 

尋ねさせていただいたどの経営者の方も「ぜひ連れておいでよ!」「中学生と話できるの面白そう!」と、乗り気になってくれてホッとしました。

 

11月にいざ企業訪問へ

いよいよ、トライやるウィークの受け入れ日がやってきました。

いくつかの会社訪問を行い、どのような仕事をしているのかを見てもらうことです。

予定では3日間で5社訪問予定にしています。

ですが、単に見学だけをしてもらっても何の学びもないでしょうし、時間を割いていただく訪問先企業の方にも何かしらの成果物をお渡ししたほうがいいかなと思いました。

そこで今回は、その会社がどのように仕事をしているのか?どのように収益を上げているのか?の仕組みを聞いてビジネスモデル図を作成してもらうこととしました。

ご協力いただいた企業の方々には、トライやるウィークの趣旨に賛同いていただき、本当にありがとうございました。

 

ビジネスモデル図を作成

ビジネスモデル図の作成は、取引先や顧客などとの関係を図に表し、その会社のお金の流れなどをつかむために中小企業診断士の現場でも実際行います。

また、公的な報告書には必須事項となっている場合もあります。

ビジネスモデル図とは簡単に言えば、その会社の儲けている仕組みを図に表したものとも言えます。

 

初めて訪問するような企業様であれば、私も手書きの図を描きながらはじめに行います。

 

そういった意味でも、当社が受け入れるトライやるウィークの体験にふさわしいのではないかと考えました。

 

そして、訪問した5つのビジネスモデル図を作成してもらいました。

 

一番初めは横についてアドバイスもしましたが、最後の企業様になると何にも言わなくても、一人でヒヤリングをして作成できるようになっていました。

 

最終日にビジネスモデル図を完成させて終了

最終日には、当社のスタッフSiからWEBで事務の仕事やリモートでの仕事のことなどを話してもらいながら、ビジネスモデル図を完成させてもらいました。

 

完成されたビジネスモデル図を見ると、アイコンを使って視覚的にわかりやすく作成されていました。

私が作成するものは、箱の中に言葉が書いているだけです。

明らかにN君が作った方が、アイコンがあり一目でわかりやすいのでいいなと思いました。

 

兵庫県はトライやるウィーク発祥の地だからか5日間となかなかの長丁場です。

とりあえず、トラブルもなく無事に終わりホッとしました。

 

受け入れをしてみて、「トライやる・ウィーク」に思うこと

わたしは教育者でもなく、教育の現場も知りませんので的外れなこともあると思いますが、今回受け入れをしてみて感じたことを書いてみます。

 

受入れ側として良かった点

たまたまN君は経営に興味があり、呑み込みも早かったのですが、それでも社会に出ていない中学生なので、知らない言葉もありますし会社の仕組みもわからないことが多いです。

そのため、こちらとしては簡単なことでも、わかりやすくかみ砕いて話す必要があります。

よく「人に説明するには中学生でもわかるように」と言われます。

そういった意味でも、本物の中学生に説明できる体験ができたことは、良かったのではないかと思いました。

 

また、中学生の受入れは社員教育にもつながると思いました。

ある訪問先では若手社員方に案内をしてもらったのですが、中学生に対して自社のことをわかりやすくどう伝えればいいのかを考えてくれてたそうです。

すると、自分の仕事や会社の仕事を理解しなくてはいけませんし、また、中学生に失望させないように振舞う必要もあります。

 

経営者としても、もしうまく伝えることができていない、指示ができていないとなれば、組織的、個人的な問題があるのではと察知することもできます。

 

個人的には、とっても良い取り組みだなという印象を受けました。

 

教育としてもいい取り組みではないかと思った点

進路を決める前の段階で、社会に触れる機会を持てることはとってもいいことではないかと思いました。

親目線で考えててしまいますが、自身の子供がトライやるウィークに行って、学校の勉強だけではない何かを学んできてくれればとてもうれしいことです。

 

就職先を探すときにも、テレビや動画でよく見る会社、自分が使っている商品やサービスの会社だけでなく、色々な仕事が世の中にあることを知ることはとてもいいことだと思います。

また、大企業だけでなく、中小企業がどのように大企業とかかわって、どのような部分を担って社会を支えているいるのかを知ってもらえると、中小企業診断士としてとてもうれしいことです。

 

視野が広がることは、今後の人生において必ずプラスに働くと思います。

 

トライやるウィークの受入れ先を増やすには?

ですが、実際に実施される学校側の負担はかなりあるようです。

学校の先生からは「受入れ先企業の確保」に苦労されていることが強く印象に残りました。

そりゃ現在のやり方では、大変だろうなと思います。

 

実際に受け入れしてみて、「こうしたらいいのでは?」と思ったことを挙げてみます。

 

①期間を短くても大丈夫であることを予め示しておく

兵庫県は発祥の地だからか、5日間と長丁場です。

他県では3日だったりするそうなので、長く感じます。

ですが、実際は運用上短くても大丈夫でした。

当社はどうしても外せない仕事が入りましたので、1日は学校でワークをしてもらうことで対応しました。

 

5日だと無理でも3日であれば、2日であればというようにしてハードルを下げておけば、受け入れ先を増やせるのではないかと思いました。

感覚としては5日間びっちりと受け入れることを求められると、そこそこの規模感の企業に限られるのじゃないかなと思いました。

 

②受身な学生をなくす

先生とお話させていただいて、「はじまってから年月が経ち、本来の趣旨を達成させるのではなく、行事をこなすことになっているのではないか?」と感じました。

はじまった当初は、学生が訪問先を探すことが当然だったようです。

中学生にすればとても大変でしょうが、自律的に動かないといけないその経験は必ず学びになったはずです。

なかなか思い切った取り組みだなと思いました。

 

ですが今では、自分で探す生徒はクラスに一人くらい。

ほとんどは学校が確保した先に、抽選で決まるそうです。

そうすると、”希望の先に行けない→ヤル気ない→受け入れ先でも困ったことをしがち→受け入れを拒否”といったこともあるようで、負のスパイラルにもなるようです。

 

正直言えば当社も、N君が一人で考えて問合せをしてきてくれたからこそ受け入れたわけで、学校からの依頼だと断っていたと思います。

どの経営者の方も同じようなことを言ってました。

「中学生がチャレンジしてきてくれたたら、そりゃ大人としても期待に応えたくなるよね。」

と。

 

なぜなら経営者は「自律的に動く」人が欲しいわけです。(中には単純に言うことだけ聞く人が欲しいという人もいると思いますが)

自律的に動いてくれる人がいないと、組織が発展しないことがわかっているからです。

 

トライやるウィークの趣旨からすれば、単に職業体験するのが目的ではないはずです。

運用が難しくなっているのであれば、別の方法を考えてもいいのではないかなと思います。

 

受入れ先の負担を考えると、2日でもOKとする、11月の2週目と限定するのではなく柔軟な日程を組めるようにする、などなど。

 

ヤル気のある中学生であれば受け入れようと考える経営者も多いのではなかと思いました。

 

③受入れ先はなるべく作業だけを体験させない

職業体験なので、何かしらの仕事を体験してもらうことになります。

が、昔と違いコンプライアンスにもうるさくなり、またSNSが発達したため良くも悪くも発信されてしまします。

 

そうすると、受け入れ先も中学生に体験してもらう仕事が限られてくることがあるようです。

主には掃除や品出しなど、作業で終わる場合もあるようです。

 

それは必要な仕事ですが、アルバイトでもできますので、高校生にでもなればいやほど体験できます。

 

今回、私が一番恐れたことは「仕事ってつまんないな」と思われて終わることでした。

そのため受け入れ先も、可能な限り「働くことの喜び」感じれられるような体験をしてもらうことが地域での教育になるのではないかと思いました。

そうなると、もっと事前に地域の学校と協議をするなど準備が必要なのかなとも思いました。

先生方も忙しいので、そんな暇もないことは重々承知しているのですが。

 

ですが、「楽しかった」「勉強になった」の体験を増やすことが、自律的に動く学生を増やすことにつながるのではないかなと思いました。

 

さいごに

色々と書いてみましたが、総じてトライやるウィークはいい取り組みと思いました。

自身の子育てにも考えることができました。

 

中学生の男子と話すことなんてまずないので、思春期の子の考えや流行っていること、中学生のSNSの使い方などリアルに知ることができ、いい経験をさせてもらいました。

 

ご協力いただいた方々、N君に感謝申し上げます。

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