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あとどれくらい借りられる?──融資判断に使える「2つの指標」と“返せる流れ”という考え方(保存版)
投稿日 2025.12.12 最終更新日 2025.12.12
「うちの会社、あとどれくらい借りられますか?」
融資の現場では、この質問は本当によく出てきます。
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今の資金繰りが不安
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追加融資が可能か気になる
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返済が始まって苦しくなってきた
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そもそも自分の会社の“適正な借入額”が分からない
そんな悩みを持つ経営者は少なくありません。
ただし、ひとつだけ最初にお伝えしたいことがあります。
融資は“公式”で決まるものではない
「売上の〇倍まで借りられる」
「自己資本比率が〇%なら大丈夫」
こうした“明確な基準”は、実は存在しません。
融資額は、会社の状況・経営者・金融機関の事情・時期によって変わるからです。
とはいえ、
「この会社は今、どれくらい借りても大丈夫なのか?」
を考えるときに役立つ、実務で使える指標はあります。
本記事では、
実際の経営改善や融資相談の現場で何度も使ってきた
“2つの軸”をわかりやすく整理します。
目安その1:何年で返せるか(簡易キャッシュフロー=簡易CF)
最初に見るべきは、
「返済原資がどれくらいあるか?」
営業利益 + 減価償却費 = 簡易CF(返済に使えるお金)
この簡易CFで借入総額を割ると、
返済に必要なおおよその年数 が分かります。
実務での“現実的ライン”
私は支援現場で
10~15年以内で返せるか
をひとつのラインにして見ています。
✔ 計算例
営業利益:100万円
減価償却費:20万円
→ 簡易CF:120万円
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借入1,000万円 → 約8.3年
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借入2,000万円 → 約16.6年
一般に、15年を超えてくると
“返済が重い” 状態になり、改善の余地が少なくなります。
簡易CFが使える理由は「お金の現実」を表すから
借入は利益ではなく“キャッシュ”で返します。
利益が出ていても現金がなければ返済はできません。
だからこそ、
「利益+減価償却=会社に残る現金」
を基準にするのが実務的なのです。
目安その2:月商の何か月分か(運転資金の重さ)
もうひとつ大切な指標が
借入総額が「月商の何か月分か」です。
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3か月分 → 妥当な範囲
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6か月分 → 注意ゾーン(慎重に判断)
例:月商100万円の会社なら
→ 借入600万円で“やや重いライン”。
なぜ月商で見るのか?
理由はシンプルで、
会社は“日常の運転資金”が回っていれば倒れないからです。
月商はその “会社が生きるリズム” を示します。
売上が大きい会社は運転資金も大きいので、
同じ利益でも借入余力は自然と大きくなります。
融資は数字だけでは決まらない(ここが最も誤解される)
数字は大事です。しかし 融資の可否は数字だけで決まりません。
金融機関は次の点を “同時に” 見ています。
会社側の要素
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担保・保証
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成長見込み
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経営者の意思決定
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数字の理解度(管理できているか)
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内部の体制(経理・報告・会議の質)
金融機関側の要素
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支店の融資方針
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月末・年度末などのタイミング
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取引年数・関係性
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「応援したい会社」か
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地域経済への影響度
つまり融資は、
「返済能力 × 文脈・信頼」 の掛け算で決まります。
ここは、AIにも判断しづらい領域です。
融資の本質は“利益の前借り”
融資は本来、
未来の利益を先に使う行為 です。
事業を加速させるためのテコであり、
延命のための借入とは性質がまったく違います。
返済が苦しくなるのは
想定していた利益の流れが生まれなかったとき。
だから見るべきは
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「いま利益が出ているか」
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「改善すれば利益が生まれる流れを作れるか」
この “流れ” の部分 が最も重要です。
コロナ融資後の返済局面で増える誤解
今、コロナ融資の返済が始まり、
リスケ・借換え相談が急増しています。
よくある誤解は、
「借換えすれば当面大丈夫ですよね?」
ですが、実際には
返済できる流れが戻っていなければ、借換えは延命にしかなりません。
だから改善支援の現場では
“15年以内で返せる状態に戻るか”
という視点で現実的な判断をしています。
借りられる金額より大切なのは、“返せる流れ”があるか
融資相談のたびに思うのは、
多くの経営者が 「借りられるかどうか」 を気にしていること。
しかし本当に大切なのは、
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返済できる利益が出るか
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改善で利益の流れを取り戻せるか
-
そのためにどこを整えるべきか
という “会社の動き方” のほうです。
融資とは、
会社が安心して動ける状態を取り戻すための“手段”にすぎません。
まとめ:借入の判断は「流れで見る」のが正しい
借入額の適正ラインは、会社によって違う。
しかし、判断軸は持てる。
✔ 何年で返せるか(簡易CF)
✔ 月商の何か月分か
この2つを押さえたうえで、
“返せる流れが会社にあるか” を見ること。
これが、借入判断のもっとも実務的で再現性のある見方です。
■ 融資・資金繰りの相談について
-
追加融資は可能か
-
今の借入は重すぎないか
-
返済開始後の資金繰りが不安
-
リスケ・借換えを検討したい
-
改善すべきポイントを知りたい
こうした相談を多数受けています。
「うちの場合、どう見ればいい?」
という一言でも大丈夫です。
必要な視点と数字の見方を整理し、
会社の“動ける流れ”を一緒に整えていきます。
お気軽にご相談ください。

中小企業診断士/ファイナンシャルプランニング技能士2級/全経簿記上級
神戸市出身
中小企業3社(食品製造・アパレル)で約20年間財務経理部門を担当。2017年に中小企業診断士として独立。2020年株式会社ノーティカル設立。
事業計画・資金計画の立案から金融機関折衝や資金調達、計画実行支援を中心に、経営改善や新規事業支援を行う。
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