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【融資】事業継続の最終手段”借入金のリスケ(条件変更・返済猶予)”とは

【融資】事業継続の最終手段”借入金のリスケ(条件変更・返済猶予)”とは

投稿日 2022.08.08 最終更新日 2024.10.28

いよいよ資金繰りが苦しくなって、支払いに困ってきた。

借りているお金が返せなくなった。

いつもと同じように銀行や信用金庫が貸してくれなくなった。

 

もう打つ手が無くなった場合、銀行や信用金庫への返済をストップする方法で資金繰りの状況を改善させる方法があります。

 

経営・資金繰り改善

リスケ(条件変更・返済猶予)とは、「借入金を返済したくてもできないから、返済を延ばしてもらうこと」

リスケ、正式にはリ・スケジュール(reschedule)と言います。日本語で言えば返済猶予です。

一言でいえば

「借入金を返済したくてもできないから、返済を延ばしてもらうこと」

となります。

 

返済を延ばしてもらう相手は「銀行・信用金庫などの金融機関」です。

なので、リスケをするということは

「銀行から借りたお金を約束通りに返せないから、毎月返すお金を減らして、返済期間を延ばしてもらう」

ことです。

 

銀行や信用金庫などの金融機関からお金を借りるとき、「いつ、いくら借りて、いつまでに返済するか、毎月いくら返して、利息はいくら払うか」と決めます。

リスケとは、その金融機関との約束を見直してもらうこと、すなわち条件を変更してもらうこととなります。

その条件変更は主に、返済期間を延ばしてもらうこと、返済を猶予をしてもらうこととなります。

 

なぜ、リスケ(条件変更・返済猶予)をする必要がある?

リスケを行う理由はただ一つ。

毎月の資金繰りが苦しいから返済を猶予してもらい、事業を継続させることです。

 

例えば、A銀行からお金を借りていて毎月10万円を返済しているとします。

毎月の儲けが50万円あれば問題はないですが、売上が減少したり仕入価格が上がったりして儲けが5万円になったとします。

その場合、毎月10万円の返済を続けていけば、5万円(儲け)ー10万円(返済)=△5万円なので、いつの日かお金が底をついて倒産してしまいます。

そこでリスケを行い、毎月の返済を1万円に抑えれば、5万円(儲け)ー1万円(返済)=4万円となり、事業を継続することができます。

そして、リスケを行ってもらっている期間の間に売上が上がる対策や利益が出る対策をとり、また正常に返済を行える状態に戻すことで、事業が継続できます。

儲け 返済額 差引
通常時 50万円 10万円 40万円
困難時 5万円 10万円 △5万円
リスケ後 5万円 1万円 4万円

 

リスケのメリット

リスケをするメリットは、もちろん

資金繰りが楽になる

ことです。

 

当たり前なことですが、このためにリスケを行います。

これは、新たに資金を調達したこと同じ効果がある、と言えます。

 

お金が足りない場合、お金を借りるか支出を減らすかしか方法はないですが、リスケは「支出を減らす」手段となります。

 

毎月の返済金額より儲けが少ない場合、返済が進むことで手元資金が減少してきます。

そして、減った分をまた新たな融資を受けて、返済資金を確保するやり方が一般的だと思います。

ですが、必ずしも融資を受けられる保証はありません。

むしろ断られるリスクもあります。

そのようなときには、返済そのものをストップさせるリスケ(返済猶予)は、有効な手段の一つとなります。

 

リスケを申し込む段階と言うことは、新たに借入ができなかった状況と考えられます。

そのため、返済を止めるということは借入と同じ効果があるということとなり、大きなメリットとなります。

 

リスケをするデメリット

リスケをするデメリットとしては、

「原則」新規融資が受けられなくなる

ことです。

 

これは、金融機関との信頼関係が損なわれるからです。

 

もちろん、リスケをしたら100%融資を受けることができないのかと言えば、そのようなこともないのです。

が、なかなか困難になります。

短期融資も受けることができないので、先行して支払いが必要な場合は資金不足でチャンスロスになることもあります。

 

金融機関はあくまで「金貸し」なのです。

大事なお金の貸し借りなので、信用が何よりも重要となります。

それが損なわれるということなので、新たな追加融資を受けることができなくなることが、大きなデメリットと言えます。

 

リスケの場合は、資金繰りのシミュレーションを行い、よく検討をして実施する必要があります。

 

リスケでも融資を受けられる場合

「原則」としたのは、場合によっては借りれる可能性があるからです。

例えば、必ず入金が確定しているような案件がある場合は短期のつなぎ融資をしてくれるかもしれません。

具体的には、補助金の入金待ちや、既に受注を受けていて回収が確実な取引などです。

会社への信用は失われましたが、入金先の信用があれば、短期のつなぎ融資には応じてくれる可能性があります。

ですが、仮に短期融資であったり、手形割引に応じてもらえても非常に高金利となります。

 

その企業がメイン行とどれくらいの付き合いをしてきたかなどで変わります。

応援しなくなる企業、支援せざるを得ない状況、などなど様々な要因で決まります。

私もいろいろなケースを体験しましたが、この辺りは各企業の置かれている状況により、本当に様々です。

 

金融機関と交渉が難しい場合は、第三者の専門家を介して調整してもらうことをお勧めします。

 

副産物としてのメリット

直接的なメリットではないですが、リスケには副産物としてのメリットがあると考えます。

それは、

「事業の改革を行いやすい」

ことです。

リスケをすることは、それなりに経営が追い込まれている状態と言えます。

 

これまで、競合の出現や外部環境の変化に対して対応しなければならなかったのに、後回しにしていてじり貧のケースは良くあります。

そこで、リスケを行うのを機に抜本的な改革に着手できるきっかけができたとも考えられます。

人は追い詰められなければなかなか自己を否定して、一からやり直すことはできないものです。

しっかりと現状に向き合い、経営改善計画を作成する事こそが、改革を行うチャンスと言えます。

 

リスケ(条件変更・返済猶予)はどれくらいの期間応じてもらえる?

普通にリスケの依頼を進めていき合意を得る期間は、基本的には6か月~1年間となります。

計画書通りに進まなければ、再度6か月~1年が到来するまでに再度のリスケ延長交渉を行います。

 

しかしながら、計画通りに進まない会社に対していつまでも甘い顔をしてくれる金融機関もありません。

「全額を一気に返してください」と言われかねません。

最悪の場合、預金封鎖や担保の差し押さえなどになります。

 

とは言え、金融機関も半年やそこらで業績が劇的に変わるとも思っていません。

通常は3~5年分の計画を作成して、その達成具合を見て半年ごとに延長交渉を行います。

達成具合はおおむね80%で合格と言われていますので、バラ色のあり得ない計画ではなく固めの計画を作成します。

 

銀行や信用金庫にリスケをお願いしたら簡単に応じてくれるのか?

リスケをしてもらえれば事業を継続できる可能性があることがわかりました。

しかし、突然金融機関に行って「リスケをお願いします」と言ったら応じてくれるのでしょうか?

通常では「はい、そうですか」と応じてくれる訳ありません。

 

コロナウイルスの影響で金融庁もリスケに応じるように要請をしていますので、リスケ自体には応じてもらいやすいと思います。

 

とは言え、金融機関側としては全くもってうれしくない話で、面倒を持ち込まれたと思ってます。

業績の回復が一向に進まず、あまりにも何回もリスケの依頼で先延ばしを続けると、資料を出すように求められることもあるでしょう。

そこで必要となるのが現状のわかる資料と今後の計画書になります。

 

準備する資料として、資金繰り表、直近の試算表、は必須です。

リスケに応じる難度が高いと判断されれば、経営改善計画書の提出が求められます。

複数行の取引がある場合は、金融機関別融資取引内訳表も提出しましょう。

 

結局は金融機関を納得させられるか否かが勝負

結局のところ、なんだかんだと言ってもお金の出し手である金融機関の立場は強いです。

そこにリスケと言う、「当初の約束が守れなくなりそうなのでなんとかお願いします。」という姿勢でどうしても望む必要があるので、金融機関が納得できそうな資料を提出することが重要です。

そもそも的に、金融機関にとって何にもメリットがないリスケに応じるということは、しぶしぶ「やってやる」事です。

元金融機関の人に聞けば、評価もされないし行員とすればメリットの無い仕事だったそうです。

なので、しっかりと納得してもらえる資料を提出する事が大事なのです。

 

計画書とか、よくわからないから作れない場合は?

必要書類の「資金繰り表」「直近の合計残高試算表」「経営改善計画書」「金融機関取引内訳明細表」が無ければ全く応じてくれないのか?と言うことが気になるかと思います。

 

「どうせ社長に言っても作れないやろうしな」ってことは金融機関の担当者もわかっていることがほとんどです。

なので、本当のところを言えば、金融機関の担当者が作成してくれて応じてくれることが多い感じはします。

 

しかしながら、こちら側の勝手な都合で金融機関の担当者の全く評価にもつながらない仕事を増やすことになります。

そのため、当然ながら金融機関側はいい印象を持ちません。

 

外部の専門家に依頼することも検討する

自行内で対応できない場合は、外部の専門家を紹介されることもあると思います。

基本的に無料相談の場合はアドバイスで終わりますので、代わりに書いてもらうことはできません。

 

そのような場合でも、公的支援を受けることで費用負担を抑えることができます。

 

中小企業活性化協議会

で窓口相談をして、専門家を紹介してもらって支援を受けることができます。

 

経営改善計画策定支援事業

で任意の専門家に依頼することも可能です。

当社は代表が経営革新等認定支援機関ですので、経営改善計画策定支援事業を活用した支援が可能です。

 

まとめ

リスケを行うことは資金繰りを楽にすることで、「時間を買う」ことになります。

その間に、経営の立て直しを図り、事業の継続を行える体質に変えることが重要となります。

なかには、リスケを行うことがゴールと勘違いをしてそのままズルズルと業績を悪化させてしまう方もいます。

あくまでも金融機関に時間の猶予をもらったに過ぎないので、計画を実行していくことが大事となります。

その場しのぎの数字合わせをした計画書は意味のないものとなりますので、しっかりと現実と向かって作成することが再建への第一歩となります。

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