ブログ

経営者が数字を苦手に感じる理由とは? ──数字が分からなくても会社を守る「60点経営」の考え方
「数字が本当に苦手で……」
経営者の方から、こうした言葉を聞くことは珍しくありません。
試算表や決算書の話になると、「恥ずかしい」「ちゃんと分かっていない」「見方を教えてほしいけど怖い」と、少し申し訳なさそうに話される方も多い印象です。
経営において数字が大切なのは事実です。
字を読めなければ、判断を誤るリスクも高くなります。
ただ、支援の現場に長く関わる中で感じるのは、数字が苦手な経営者ほど、責任感が強いということです。
数字が苦手な理由は「能力不足」ではない
数字が苦手な理由を聞くと、「算数が嫌いだった」「簿記が分からない」と言われることもあります。
ですが、もっと根っこの部分にあるのは、数字を見ることで“自分の経営が否定される気がする”感覚ではないでしょうか。
- 売上が下がっている
- 粗利が落ちている
- 経費が増えている
- 資金が減ってきている
こうした数字を前にすると、
「自分の判断が間違っていたのではないか」
「社長として失格なのではないか」
と、自分を責めてしまう。
責任感が強い人ほど、この反応が起きやすい。
だから数字を見るのが怖くなり、避けるほど状況が分からなくなり、ますます不安が大きくなる。
これは能力の問題ではなく、心の反応です。
完璧を目指すほど、数字は重たくなる
数字が苦手な経営者ほど、最初から「しっかり理解しなければ」と思いがちです。
・簿記を一から学ぼうとする
・決算書を完璧に読もうとする
・資金繰りを12か月先まで予測しようとする
・経営指標をすべて覚えようとする
ですが、これは数字が得意な人でも簡単ではありません。
いきなり100点を目指すと、途中で疲れてしまい、「やっぱり自分には無理だ」と結論づけてしまう。
その結果、数字から距離を置き、判断が遅れ、手遅れになるケースも少なくありません。
小さな会社は「60点で守る」ほうが強い
そこでお伝えしているのが、「まずは60点でいい」という考え方です。
これは妥協でも手抜きでもありません。
会社を守るための現実的な技術です。
小さな会社は、100点を目指すより、「落第しない状態」を続けるほうが強い。
数字が苦手な方ほど、見るポイントを絞ったほうが続きます。
60点で押さえるポイントは3つだけ
① 粗利を毎月見る
売上よりも粗利です。
赤字や資金繰り悪化の多くは、粗利が落ちたことに気づけなかったことが原因です。
値下げ、仕入れ増、外注費増。
粗利が下がった時点で、黄色信号だと分かれば十分です。
② 資金は「1か月先」だけ見る
12か月先の予測は必要ありません
まずは今月の入金と支払いだけ把握する。
給料、仕入れ、固定費。
これが見えていれば、突然の資金ショックは防げます。
③ 固定費は大きい3つだけ押さえる
細かい経費より、人件費・家賃などの固定費・借入返済。
この3つだけ見れば、会社は守れます。
数字が苦手な社長は「現場の変化」に強い
数字が苦手な経営者でも、現場の変化にはとても敏感な方が多い。
- お客様の反応
- 従業員の雰囲気
- 取引先の動き
- 社内の空気
こうした“流れの変化”を感じ取る力は、数字が得意な人より優れていることもあります。
数字は60点でもいい。
その代わり、現場の感覚を活かす。
数字100点×現場0点より、
数字60点×現場70点のほうが会社は強い。
60点経営は「続けるための考え方」
経営は一発勝負ではありません。
続けることが何より大切です。
完璧を求めて止まるより、60点で動き続ける。
数字が苦手でも、会社は守れます。
むしろ、数字が苦手な社長ほど、正しい距離感で数字と付き合えれば、長く安定した経営ができます。
まとめ
・数字が苦手なのは、責任感が強い証拠
・完璧を目指さず、60点で押さえる
・粗利、1か月先の資金、固定費だけ見る
・現場の感覚を活かす
数字は経営者を責めるためのものではありません。
会社を守り、続けるための道具です。
「数字が苦手だからこそできる経営」がある。
そう考えてもらえたら幸いです。

中小企業診断士/ファイナンシャルプランニング技能士2級/全経簿記上級
神戸市出身
中小企業3社(食品製造・アパレル)で約20年間財務経理部門を担当。2017年に中小企業診断士として独立。2020年株式会社ノーティカル設立。
事業計画・資金計画の立案から金融機関折衝や資金調達、計画実行支援を中心に、経営改善や新規事業支援を行う。
-
会社案内 会社案内を見る
-
サービス案内 サービス案内をみる
-
ノーティカルの想い ノーティカルの想いを見る
お問い合わせ
Contact
- Webでのお問い合わせはこちら
- お問い合わせフォーム 24時間年中受付中


