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【経営】本気で会社を立て直したいときに使える経営改善計画策定支援(405事業)とは?
投稿日 2024.01.11 最終更新日 2024.10.28
資金繰りが苦しい。
会社を何とか立て直したい。
このような業績が苦しく資金繰りの悪化を避けたい中小企業に対して、国は支援策を用意しています。
それは、経営改善計画策定支援、通称405事業と呼ばれるものです。
そこで今回は、経営改善計画策定支援(通称405事業)〈通常枠〉とはどういったもので、どのような人がなれるのかを解説してみたいと思います。
〈中小版GL枠〉(中小企業の事業再生等に関するガイドライン)もありますが、ここでは割愛いたします。
経営改善計画策定支援(通称405事業)とは
中小企業庁のHPには、下記のように記載されています。
環境変化等に十分対応できておらず、借入金の返済負担等、財務上の問題を抱えており、自ら経営改善計画等を策定することが難しい。
そんな方に対して、認定経営革新等支援機関が中小企業等の依頼を受けて経営改善計画策定支援を行うことにより、中小企業等の経営改善を支援します。
また、持続的・安定的な事業継続や思い切った前向き投資のためには、内部管理体制や経営の透明性確保に向けたガバナンス体制の整備が必要です。
本事業では、これに向けた中小企業等と専門家の取組も支援します。
(出典:中小企業庁HPより)
とても簡単に要約すれば
「借金で大変だけど、経営者自分だけでは経営改善計画を作れない。そのような方には、専門家に協力してもらってください。そのための支援は国がします。」
といったものです。
国が支援してくれる概要
支援の概要は中小企業庁のホームページによると、
本事業は、金融支援を伴う本格的な経営改善の取組が必要な中小企業・小規模事業者を対象として、国が認定した税理士などの専門家である認定経営革新等支援機関が経営改善計画の策定を支援し、経営改善の取組みを促すものです。
中小企業・小規模事業者が認定経営革新等支援機関に対し負担する経営改善計画策定支援に必要となる費用の2/3(上限額は以下参照)を中小企業活性化協議会が負担します。
申請書類や認定経営革新等支援機関の検索は以下の「認定経営革新等支援機関検索システム」から行うことが出来ます。
(出典:中小企業庁HPより)
支援の内容は、経営改善計画策定支援に必要となる費用の2/3を負担してくれるものとなります。
ホームページには”税理士”と具体的な士業名が書かれていますが、この経営改善計画策定支援事業ができるのは「認定経営革新等支援機関」になります。
認定経営革新等支援機関の説明は当社の過去記事を参照ください
記載の通り、中小企業庁の「認定経営革新等支援機関検索システム」から、登録されている機関や士業が検索できます。
当社代表も、認定経営革新等支援機関です。
(中小企業庁HPより)
補助率と補助上限が記載されていますが、事業規模で分けられます。
経営改善計画策定支援事業マニュアル・FAQ令和5年4月1日改訂版P.19~20では下記のように記載されています。
小規模:売上 1 億円未満かつ有利子負債 1 億円未満 総額150 万円以下 補助上限合計 100 万円以下
中規模:売上 10 億円未満かつ有利子負債 10 億円未満 総額300 万円以下 補助上限合計 200万円以下
中堅規模:売上 10 億円以上または有利子負債 10 億円以上 総額450 万円以下 補助上限合計 300万円以下
と規模によって、補助上限も変わります。
実際の費用に関しては、認定経営革新等支援機関ごとに変わると思われます。
上記の総額とは、計画策定費用+伴走支援費用の合計となります。
伴走支援期間はだいたい3年となることが多いと思います。
そのため、一括で自己負担が発生するものではありません。
なお他の補助金と違い、企業側が総額を一時的に負担するのではありません。
企業側は自己負担のみの支払いとなり、補助金は経営革新等支援機関に支払われます。
本気で経営改善に取り組むなら検討の余地あり
支援対象者
支援対象は、”金融支援を伴う本格的な経営改善の取組が必要な中小企業・小規模事業者”と明記されています。
これまでの経営ではなかなかうまくいかない場合、外部の専門家と一緒になって経営改善に取り組むことも有効な手段の一つと考えます。
また、自発的でなくても金融機関からも、抜本的に経営を立て直してほしいといった要請も出てくるでしょう。
コロナでうやむなになった感がありますが、そもそも金融庁としても従来のように、いつまでも回復する見込みのない企業に関しては、適切な出口戦略をとるようにとの意思もあります。
抜本的と言っても、なかなか自社内だけでは難しいと思われますので、そのようなときは外部の知見を借りることも必要と考えます。
経営改善計画策定支援(通称405事業)を利用するメリット
経営改善計画策定支援(通称405事業)を利用するメリットは、経営改善計画策定の費用を負担してもらえることにつきます。
また、経営改善計画策定支援(通称405事業)の場合は、自分で伴走してもらえる認定経営革新等支援機関を選ぶことができます。
中小企業活性化協議会に相談に行けば専門家を紹介してもらえますが、どのような人が斡旋されるかはわかりません。
自分で選ぶことができる点が、大きなメリットの一つです。。
また、経営改善計画書を作りっぱなしで終わらず、必ず伴走支援期間が必要とされています。
伴走支援の期間や頻度は、認定経営革新等支援機関次第ですが、だいたい3年の伴走期間、1~3か月に1回の支援になることが多いのではないかと思います。
長い目で見れることも、メリットの一つです。
利用の可否は、金融機関と中小企業活性化協議会次第
とは言え、経営改善計画策定支援(通称405事業)は誰でも利用できるものではありません。
最終的に融資のある金融機関全行から経営改善計画の同意書の提出が求められますので、金融機関側は拒否した場合には利用ができなくなります。
そのため、メインバンクと事前に協議を行い、各行に事前相談をすることをお勧めします。
なかには、報酬欲しさでとりあえず計画書を作成したがるコンサルや認定支援機関も多いからか、金融機関に経営改善計画の必要性が認めれらない場合もありますのでご注意ください。
また、中小企業活性化協議会が支払い者となりますので、目的に合致していることが求められます。
そのため、利用申請を出して、利用の可否が判断されます。
なぜ通称405事業と言うのか
ちなみに、我々の業界では405(ヨンマルゴ)事業と呼ぶことがほとんどです。
405(ヨンマルゴ)と呼ばれるようになったのは、2013年の事業開始時の予算額が405億円だったことに由来するそうです。
中小企業活性化協議会に問い合わせをする場合は、405事業と言った方が伝わりやすかったりします。
さいごに
最近は、経営改善支援のお話がよく入るようになりました。
それだけ企業側も疲弊してきており、改善を求められている企業が増えている印象です。
支援をさせてもらう立場からいつも思うことは、「もっと早くに相談してくれていれば」「もっと早くに適切にできていれば」といったことがほとんどです。
経営改善をするには、よそ者、馬鹿者、若者の話ではありませんが、第三者の目から見れば、いい点も悪い点にも気が付きやすいものです。
また、数多くの会社を見ているからこそ、気が付く点もあります。
経営者だけで推進するのは大変ですが、伴走支援をしてくれる人が付いていてくれるだけでも心強いと思います。
経営に悩んで資金繰りに苦しんでいる経営者の方には、早めに相談をすることをお勧めします。
中小企業診断士/ファイナンシャルプランニング技能士2級/全経簿記上級
神戸市出身
中小企業3社(食品製造・アパレル)で約20年間財務経理部門を担当。2017年に中小企業診断士として独立。2020年株式会社ノーティカル設立。
事業計画・資金計画の立案から金融機関折衝や資金調達、計画実行支援を中心に、経営改善や新規事業支援を行う。
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